採用担当者は「遠くを見る余裕のある人」であるべき理由

採用担当者は「遠くを見る余裕のある人」であるべき理由

人材研究所代表・曽和利光氏の連載「採用担当者があなたの会社を魅力的にする」。今回は、応募者と採用担当者との間で生じがちな感覚のギャップはなぜ起こるのか、について考えてもらいました。大事なのは、就職や転職は人生の岐路であり、応募者はそこに立っているということです。


「会社の儲け方」だけでは若者に刺さらない

「わが社のビジネスモデルは、こんなに工夫された優れたものなんですよ!」

日々競合とのビジネス上の差別化に知恵を絞っている人なら、応募者から事業について質問されたら、意気揚々と語りたくなるのも無理はありません。

しかし「人はパンのみにて生きるにあらず」。儲かるしくみも大切ですが、そればかり自慢されるとげんなりしてしまうものです。

「へえ、すごいですね」とは思うでしょうが、「儲けるだけなら、もっと別の会社を受ける」と思う人もいるでしょう。

特に最近の若者世代は「低欲望世代」とも言われるように、陰りが見えているものの豊かな日本で何不自由なく育っています。そのせいか、「儲かるか儲からないか」「勝つか負けるか」に対してあまりこだわらない人が増えています。

「どんな社会的価値を提供しているのか」を語ろう

その代わりに多くなっているのが、「誰かの役に立ちたい」「貢献したい」「感謝されたい」というような貢献欲求が仕事をする動機となっている人です。

つまり、その会社が事業によって「いかに儲けているのか」ではなく、「どんな価値を社会や人々に提供しているのか」ということに関心を持っているということです。

私が以前所属していたリクルートを例に挙げると「広告としてお金をいただける情報だけを集めたメディアを作ることで、超高収益のビジネスを作り上げた」といった話に惹かれて入社した人はあまりいません。そうではなく、

「私たちは企業の"下克上支援"をしている。未来の大企業になりうる成長企業は、リクナビがなければ発見してもらえない」

といった「なぜ、その事業が社会に存在しているのか。受け入れられているのか」という視点で説明すると、若い応募者は共感してくれたものでした。

応募者との「感覚のズレ」はなぜ生じるか

この手の話に対する感覚について、応募者と採用担当者との間には大きなズレが生じがちです。採用担当者が応募者を上から目線で「甘い」と叱責して、トラブルになることもしばしば。なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

就職や転職は、人生の岐路です。岐路において、人は立ち止まり遠くを見据え、振り返って「結局自分は何のために生きているのか、働いているのか」を思うものです。

岐路に立っている応募者は、そのような遠くを見つめています。一方で、採用担当者は日常に埋没しがち。このことが、応募者と採用担当者の感覚のギャップを生むわけです。

採用担当者も、少なくとも面接の間だけは一息ついて日常を忘れ、応募者と同じ視点に立って事業や仕事というものを見つめ直す余裕が必要です。

採用担当者は、常に「遠くを見る」「大所高所から見る」人でなくてはならないのです。

筆者:曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。
■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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人事コンサルティング、採用アウトソーシング、新卒人材紹介を行う株式会社人材研究所 代表取締役社長。

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