「CtoC型越境EC」で成長中! 「BUYMA」に事業を集中させたエニグモの将来性

「CtoC型越境EC」で成長中! 「BUYMA」に事業を集中させたエニグモの将来性

2004年に創業し、さまざまな事業を打ち出してきた株式会社エニグモ。経営資源を「BUYMA(バイマ)」に集中し、2018年冬には「世界を買える FASHION MARKET」というコピーでテレビCMを打ちました。将来性を占うキーワードを探ります。


2019年1月期は過去最高を更新

ソーシャルショッピングサイト「BUYMA(バイマ)」を展開する株式会社エニグモは2019年3月15日、同年1月期決算を発表しました。

総取扱高、売上高、営業利益、計上利益、当期純利益のすべてで期末予想を達成しています。期初通期業績予想に対する売上高達成率は110%で、初の50億円台に。総取扱高・営業利益も過去最高を更新しています。

売上高は52億円で、前期比118%。(旧子会社分を除く)単体ベースでは、前期比124%という高い伸びです。

営業利益は21.4億円で、過去最高益を更新。営業利益率は40.6%で、前期(連結)比5.5ポイント増に改善しています。なお、2016年1月期の営業利益の落ち込みは「大型マスキャンペーン」を実施した影響によります。

奏功した施策としては、「新マーケティングミックスによる効果」「(サイト・サービスの)機能向上施策」「MD(マーチャンダイジング=商品政策)強化」があげられています。

「新マーケティングミックス」とは、TVCMや動画広告により認知度向上や会員数向上を図り、それをネット広告で刈り取り、取扱件数向上施策につなげて1人あたりの平均購入件数を向上させるサイクル手法とのことです。

今後は「ビッグデータ」「AI」を活用し、会員個人の状況に応じた「パーソナライズドクーポン」「パーソナライズドポイント」を付与して利用を促すような施策を取るようです。

なお、エニグモは2019年1月期中に女性向けメディア「4MEEE(フォーミー)」などを擁するロケットベンチャー株式会社(現4MEEE株式会社)の全株式を株式会社インタースペースに譲渡。エニグモコリア(BUYMA韓国語版を運営)を解散し、単独決算に変更しています。

エニグモが女性向けメディア「4MEEE」運営のロケットベンチャーを譲渡

https://www.fashionsnap.com/article/2018-01-17/4meee-interspace/

 エニグモが1月17日、同社の連結子会社で女性向けメディア「フォーミー(4MEEE)」などを運営するロケットベンチャーの全株式をインタースペースに譲渡することを決議した。譲渡金額は6,003万円で、効力発生日は1月29日を予定。

現在は経営資源をBUYMA事業(日本語版と英語版)に集中投下。ただし、英語版は2020年1月期に「戦略投資を除く単月黒字化を目指す」段階で、利益は日本語版であげている状況です。

パーソナルショッパーが写真で「出品」

ソーシャルショッピングサイトを標榜するBUYMAの事業モデルは「CtoC型越境EC」というもの。海外通販の「越境EC」「CtoC」と組み合わせたユニークなものです。

サイトの説明によると、海外在住の「パーソナルショッパー」は、街で気に入った商品を見つけたら、写真を撮ってBUYMAに「出品」。注文が入ってからお店で商品を買い付け、購入者に届けたら代金が受け取れるサービスです。

BUYMA|出品者になって売るには?—世界の最新アイテムを海外通販!

https://www.buyma.com/buyer/

ソーシャルショッピングサイト『BUYMA』(バイマ)でパーソナルショッパーになりませんか?何をいくらで販売するかはパーソナルショッパーのセンスです。あなたのセンスを発揮して、BUYMAでトップパーソナルショッパーを目指してみませんか?

海外の方が安く販売されているアイテムや国内未入荷のアイテムを、日本にいながら手軽に買えるサービスとして人気を集めています。パーソナルショッパーは手元在庫がなくても始められ、値付けが自由にできるので買付価格と取引価格との差が儲けになります。

購入者は取引価格の5%を「決済手数料」として、パーソナルショッパーは同5~7%を「成約手数料」としてBUYMAに支払い、これが会社の売上となります。

日本語版と英語版を合わせた会員数は約614万人で、前期比123%と急増。アクティブ会員数は109万人を突破し、前期比113%と順調に成長しています。ただしアクティブ会員率で見ると右肩下がりになっている点が気になります。

総取扱高は「取引価格」の合計で、前期比123%の455億円と急伸しています。取扱件数も237万件と順調に拡大。1件あたり取引高も上がっています。

ARPU(Average Revenue Per User =1ユーザーあたりの平均的売り上げ)は、4期ぶりに4万円台を突破しました。

米国の富裕層に浸透しつつある英語版

日本語版のBUYMAには、152か国、12.5万人のパーソナルショッパーが登録しています。購入平均単価は19,120円で、女性が73.5%を占めています。

一方の英語版は84か国に配送していますが、配送数の53.4%を米国が占めています。平均商品単価は36,837円と日本よりも高く、女性が77%を占めています。

英語版の取扱高は、前年同期比で163%と急伸。米国での取引単価は他の地域の1.56倍になっており、米国の富裕層に着実に浸透し始めているようです。

エニグモは今期(2020年1月期)に東証一部へ市場変更を行う予定。売上高は2019年1月期比で117%、営業利益は同115%という業績予想を掲げています。

会社の「ステージアップ」に合わせて、BUYMAを「Specialty Market Place(特化型マーケットプレイス)」と再定義。Amazonなどのように日常領域において「いつでも、どこでも、すぐに手に入るアイテム」ではなく、非日常領域において幅広いアイテムやサービスを世界中から提供し、独自のポジションを目指すとしています。

2018年7月からサービス提供を開始し、今後独立サイト化予定とされる「BUYMA TRAVEL」(海外在住のパーソナルショッパーと海外旅行者をつなぐサービス)もこの方針の一環で、資料を見る限りさらに新たな分野への進出も検討されているようです。

BUYMA|自慢したくなる観光旅行 BUYMA TRAVEL(バイマトラベル)

https://www.buyma.com/travel/

世界139カ国のパーソナルショッパーが日本語で観光をサポート!インスタ映えスポットやローカルグルメなどBUYMAならではの自慢したくなる旅行体験をお届けします。

鍵は「アプリ」「メンズ」「英語版」

決算説明書を見る限り、今後の成長性を占う上で「アプリ」「メンズ」「英語版」という3つのキーワードが重要になると考えられます。

まず「アプリ」について、取扱高に占めるアプリの割合が44%に高まっています。可処分所得の多い30代から50代の会員のアプリ利用が拡大しているようです。

アプリの累計ダウンロード数は前期比で136%と急成長。ブラウザでの閲覧に比べてアプリの利用者は、コンバージョン率(注文件数÷アプリへの訪問数)が高い傾向にあるそうです。

アプリ経由の総取扱高は前期比140%と、全体の平均水準を大きく上回っています。スマートフォンユーザーへの認知度が高まっていけば、成長のスピードがさらに上がっていく可能性があります。

次に「メンズ」について、BUYMAではレディースファッションの取扱いが多くを占めていますが、メンズは2013年1月期の10.6%が、2015年1月期には14.5%、2019年1月期には32.4%と、その割合を着実に増やしています。

2015年1月期の総取扱高206.8億円と、2019年1月期の同455.3億円を掛けると、メンズファッションの取扱高は4年間で30.0億円から147.5億円へ約5倍に伸びている計算になります。メンズの伸びが全体を押し上げる状況が続く可能性があります。

最後の「英語版」ですが、韓国語版をやめて英語版に統合し、英語圏SEO対策を行ったところ、オーガニック流入が伸長しているようです。特に米国は取引単価が他のエリアに比べて高く、ユーザー数が増えるにつれて総取扱高や売上高が伸びている可能性があります。

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