【即席麺メーカー】日清食品HD、東洋水産 比較――就職・転職するならどの会社

【即席麺メーカー】日清食品HD、東洋水産 比較――就職・転職するならどの会社

今回は即席麺メーカーから日清食品HDと東洋水産の2社について比較します。朝ドラのテーマとして再注目されている日本が誇る即席麺業界について、今回は上場しているトップ2社の財務面から特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

(1) 日清食品HD

1948年に大阪府泉大津市にて創業した食品会社で、即席麺シェアでは国内1位の会社です。創業者は安藤百福で、NHK朝ドラ「まんぷく」のモデルとなりました。1958年に発売した即席麺「チキンラーメン」は、日本で初めて商業的に成功した即席麺と言われています。

2006年に「明星チャルメラ」や「一平ちゃん夜店の焼そば」を発売している明星食品を傘下入りさせています。2018年3月期末の従業員数は連結が12,102名、単体が720名です。

(2) 東洋水産

1953年に東京・築地で創業した、国内即席麺シェア2位の食品会社です。創業時は水産物取引や魚肉系の食品加工がメインでしたが、1962年より即席麺製造を開始し、「マルちゃん」ブランドとして主力事業となりました。

即席麺の他、冷凍倉庫事業では国内5位のシェアを有しています。また、マルちゃん製品のOEMを行っている上場会社「ユタカフーズ」の株式40%を保有し、グループ会社として重要な立ち位置にいます。2018年3月期末の従業員数は連結が4,639名、単体が2,232名、単体平均年収は569万円です。

事業の収益構造

(1) 売上規模

両社とも3月決算です。2015~2017年度の売上高の3期平均は、日清食品HDが4,934億円、東洋水産が3,849億円です。海外シェア拡大と国内の効率化を図った日清食品HDは、3期連続で増収となっています。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は、日清食品HDが297億円、東洋水産が282億円です。本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、東洋水産が7.3%、日清食品HDが6.0%でした。

2015年度と2016年度は東洋水産が上回っていますが、2017年度は加工食品事業の設備増強の先行投資の影響で減益となっており、次年度以降に効果が現れる可能性があります。日清食品HDは2017年度に米国事業以外で利益率を大きく改善し、東洋水産に肉薄しています。

(3) セグメント別売上構成

日清食品HD(2018年3月期)の売上高構成比は、国内即席麺事業である日清食品事業が45.1%を占めています。アメリカ等で即席麺事業を行う米州地域事業が12.5%、チルドや冷凍製品を販売する低温事業は12.4%、中国にて即席麺事業を行う中国地域事業が8.2%、明星チャルメラ等を販売する子会社・明星食品事業が8.0%、その他事業が13.7%です。

セグメント利益の構成は、日清食品事業が70.6%と営業利益の3分の2を稼ぎ、利益率も高いようです。続いて中国地域事業が8.9%、低温事業が5.3%、米州地域事業と明星食品事業が並んで5.1%、その他事業が4.9%となっています。

地域別セグメントでは、日本が76.2%、米州が12.5%、その他地域が11.3%です。国内市場が重要ではありますが、有価証券報告書では「その他」に該当している中国地域における事業拡大が、会社業績に影響を与える状況になっています。

東洋水産(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、国内即席麺事業33.2%、海外即席麺事業が18.8%です。冷凍やチルド商品を扱う低温食品事業が17.7%、水産食品の仕入・加工・販売を行う水産食品事業が8.2%、即席麺以外の商品を販売する加工食品事業が5.5%、冷蔵倉庫を活用した冷凍保管を担う冷蔵事業が4.5%、その他事業が12.1%です。

セグメント利益は、海外即席麺事業が36.7%とトップ。海外で利益を上げている点は、日清食品HDと大きく異なります。なお「マルちゃん」はいまメキシコで人気が高まり、国民食と言われるまでになっているのだそうです。

続いて国内即席麺事業が30.6%、低温事業が19.4%、冷蔵事業が7.5%、水産食品事業が1.1%、加工食品事業が0.5%、その他事業が4.3%です。

地域別セグメントでは、日本が81.1%、米州が18.8%、その他地域で0.1%です。メキシコの国民食として「マルちゃん」が挙がるなど海外で知名度の高い東洋水産は、セグメント利益でも言及した海外即席麺事業が収益の柱となってきています。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、3社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

両社とも「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

(2) 収益性

企業が本業で生み出したキャッシュを測る「営業キャッシュフロー」の2015~2017年度の3期平均は、日清食品HDが381億円、東洋水産が321億円です。両社は拮抗していますが、2017年度では日清食品HDが大きく上回っています。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、東洋水産が8.3%、日清食品HDが7.7%でした。売上高利益率と同様に東洋水産が上回っています。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、東洋水産が0.1倍、日清食品HDが0.9倍と安定しています。両社とも年間の営業キャッシュフロー内に有利子負債を収めている「実質無借金経営」ができています。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、日清食品HDがマイナス411億円で、東洋水産のマイナス280億円を上回っています。日清食品HDは中期経営計画で積極的なM&Aを行うことを宣言しており、投資活動を進めています。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、東洋水産がプラス41億円、日清食品HDがマイナス30億円です。東洋水産は3期連続で投資キャッシュフローのマイナスを減らしていましたが、次の戦略に向けた投資余力を蓄えています。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、日清食品HDがマイナス134億円、東洋水産がマイナス64億円。日清食品HDは自社株買い等の株主還元を行っています。

(5) 従業員収益性

両社の連結従業員数の3期平均は、日清食品グループが11,671名、東洋水産が4,662名と2.5倍もの差があります。さらに、日清食品グループは3期連続で従業員数を増員、東洋水産は微減となっています。

この結果、連結従業員1人当たりの売上高の3期平均は、東洋水産が8,257万円、日清食品HDが4,227万円と2倍近くなっています。連結従業員1人当たりの営業利益の3期平均では、東洋水産が604万円、日清食品HDが254万円とさらに差がついています。

ちなみに平均年間給与は、東洋水産が569万円、日清食品HDは796万9947円です(ともに2018年3月末現在)。日清食品HDは持株会社であり、グループ全体の傾向を反映していない可能性がありますが、従業員1人あたりの利益額の高い東洋水産の社員は、もっと給与が高くてもいいのかもしれませんね。

(6) 効率性

企業の総資産がどれだけ有効活用されているかを図る総資産回転率の3期平均は、東洋水産が1.1倍、日清食品HDが0.9倍です。東洋水産の方が資産をやや効率よく売上につなげる事業ができているといえます。

まとめ

以上、2社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • 朝ドラでも再注目されている日清食品HDは、2020年に向けた中期経営計画に則り収益性の向上に努めています。ターゲットとなっているBRICsでもシェアを獲得するための積極投資が見込まれます。

  • 「マルちゃんブランド」では有名な東洋水産ですが、メキシコでは国民食と言われるほど世界的に注目されている日本企業の1社です。国内トップシェアの日清食品HDに比べても収益性や安全性、効率性では勝っており、今後の投資によっては拡大が見込めそうです。

2019年2月には両社とも、原材料や人件費の高騰を理由とした即席麺の値上げを発表しました。災害が多発する中、非常食としてカップ麺等の備蓄ニーズが高まっており、即席麺メーカーにとっては大きな追い風となっています。

海外市場の開拓と国内市場でのシェア拡大と収益性向上が企業成長には欠かせない中、両社ともに優秀な人材の獲得に努めています。特に商品開発における開発人材や、商品のマーケティング戦略に長けた人材が大いに求められていますので、転職を検討されている方は是非一度チェックしてみましょう。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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