いろんな人を採れば、組織は本当に「創造的」になるのか?

いろんな人を採れば、組織は本当に「創造的」になるのか?

人材研究所代表・曽和利光氏の連載「採用担当者があなたの会社を魅力的にする」。今回は、人事採用担当者の課題とされている「ダイバシティ」について考えます。組織における人材の多様性向上は疑うべくもない常識とされつつありますが、それは本当に正しいのでしょうか。


人材の多様性は「高めるべき」という常識

「組織のダイバシティ(多様性)の高さ」は、組織にとって創造性などの必要な力を底上げするものである。このため、企業はこれを高めていくことが必要である――。

このような言説は、今では極めて当たり前のこととして捉えられています。もはやダイバシティは、疑うべくもない善ということが常識となっていると言えましょう。

そして各社の人事採用担当者は、経営者の命を受けるなどして、組織における人材の能力や性格、志向、価値観、属性等々の多様性を高めるために、いろいろな人材を採用しようとしています。

ところが、様々な経営学者や行動科学者と情報共有をしていて驚くのが、ダイバシティを高めることは一概に組織のパフォーマンスを上げるとは言えない、そういう研究結果ばかりではないというのです。

ダイバシティで「生産性が下がる」場合も

アメリカのように多様な人々からなる国においては、高いダイバシティは所与であり、改めて高める必要はなく、むしろ対処しなければならない課題のひとつでした。

多様な人々をマネジメントするのはとても難しいことであり、どう工夫すればよいのか。これがダイバシティに対する元々の問題意識であったのです。

しかし、研究をしていく中、副産物としての創造性、つまり「異質なものがつながることで新しいものが生まれることがあること」がわかり、ダイバシティはむしろ高めるべきとなったのでしょう。

ただし現在では、どっちつかずの曖昧な研究結果です。ある研究は創造性を高めるといい、ある研究はむしろ下げるというものもあります。

特に、社員同士が仕事上で依存性が高い、つまり協力し合って仕事を進めていかねばならない度合いが高い場合は、ダイバシティを高めるとチームのパフォーマンスが下がるという研究もありました。

まだ決定的な研究はないようですが、少なくとも現時点では、単純にダイバシティを高めることを目的化してしまうのは危険なのです。

「意味ある多様性を作る」視点が必要

こういう結果になるのは当然です。なぜなら、異質でバラバラな状態や、異質だが互いに補完関係にある状態を、弁別せずに「多様性」と呼んでいるからです。

例えば、「信念の人」と「受容的な人」は補完関係にあります。その一方で「信念の人」と「好奇心旺盛な人」はあまり合わず、お互いに相手を「頑固だ」「軸のないふらふらした人」だと批判しあうことでしょう。

ダイバシティを創造性のベースとするには、この観点が重要です。人材の能力や性格、志向、価値観、属性が、ただ多様であればよいわけでなく、「意味ある補完的な多様性を作る」という視点が必要なのです。

筆者:曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。近著に『人事と採用のセオリー』(ソシム)、『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)。
■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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人事コンサルティング、採用アウトソーシング、新卒人材紹介を行う株式会社人材研究所 代表取締役社長。

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