ぐるなびの業績悪化は、楽天との資本業務提携で改善できるのか?

ぐるなびの業績悪化は、楽天との資本業務提携で改善できるのか?

「加盟店の解約増加で大失速」とネットで話題になっている株式会社ぐるなび。創業者の滝久雄会長は2018年7月、保有株式の一部を楽天に売って資本業務提携を締結しました。すでに会員の新規獲得数やネット予約件数で効果が現れているようですが、今後の見通しはどうなのでしょうか。


営業利益は前期比7割超のマイナス

株式会社ぐるなびは2019年2月4日、同年3月期の第3四半期決算を発表しました。連結売上高(累計)は245億1300万円、同営業利益は11億2400万円でした。

通期予想の売上高330億円に対する進捗率は74.3%、同営業利益13億円に対する進捗率は86.5%とそれぞれ順調です。

ただし前期比で見ると、売上高は9.5%のマイナス、営業利益は71.8%ものマイナスとなっています。この原因は何によるものでしょうか?

売上高を事業別に見ると、「プロモーション」は前期比4.3%増、「関連事業」が1.1%増となる一方、主力の「飲食店サービス」は10.6%減と大きくマイナスしています。

中でも飲食店サービスのうち「スポット型サービス」は前期比3.8%増とかろうじて微増したものの、「ストック型サービス」がマイナス12.2%と大幅に数字を落としています。

主力の「ウェブ販促プラン」が不調

ストック型サービスとは「月額会員制のウェブ販促プラン」を指していると見られます。ぐるなびのウェブサイトには、無料の「エントリー会員プラン」のほか、月額1万円の「ビギナー会員プラン」と、月額5万円以上の「販促正会員プラン」があります。

【飲食店の集客なら】ぐるなび掲載のご案内

https://pro.gnavi.co.jp/kamei/

ぐるなびの飲食店向けサービスをご案内します。ぐるなびは、サイトへの掲載や予約受付だけでなく、インバウンド対策、経営サポートなど、あらゆる面から飲食店・レストランの集客をご支援いたします。繁盛店への第一歩はぐるなびから。まずはお気軽にお問合せください(無料)。

減収の理由について、第3四半期の決算説明会資料には「前期より発生している大幅な減額の影響および受注が低調に推移したこと」と説明されています。つまり、5万円から1万円、あるいは1万円から無料への移行が進んでいる、ということでしょう。

有料加盟店舗数は、5万8608店。前年同期末比でマイナス2437店、4.0%の減少です。2018年3月期から導入した成功報酬型課金の「その他の有料加盟」を入れても同2.1%減。ストック型サービスは、2017年3月期第3四半期をピークに右肩下がりを2年間続けています。

その一方で、ぐるなびは2018年7月に楽天と資本業務提携を締結し、「ぐるなび会員及びぐるなびポイントの、楽天会員及び楽天スーパーポイントへの段階的統合」「楽天のユーザーに対するぐるなびのネット予約の利用促進に向けた施策の実行」などを開始しています。

資本業務提携契約の締結に関するお知らせ|株式会社ぐるなび

https://corporate.gnavi.co.jp/release/2018/20180730-018741.html

株式会社ぐるなびの「資本業務提携契約の締結に関するお知らせ」をご紹介します。

この結果、ぐるなび会員の新規獲得数やネット予約件数が伸長しており、契約の減額・解約の抑制の兆しが見えるとしています。

売上原価率を引き上げる「代行商品」

一方で気になるのが、売上高営業利益率の落ち込みの激しさです。第3四半期の営業利益率は4.6%で、前年同期比の14.7%から約10ポイントも減少しています。

総費用で大きく増加しているのは、売上原価です。売上高が前年同期比で1.2%しか増えない中で、売上原価は3.7%伸びています。

増加要因について決算説明会資料では、「人員再配置による内製化を含めたことで業務委託費は減少」したうえで、「業務支援サービスおよびWeb広告出稿代行サービスに係る費用が増加」したためと説明されています。

ということは、「業務支援サービス」「Web広告出稿代行サービス」の費用増加分はかなり大きいと見られます。この実態について、決算説明会の主な質疑内容には以下のように説明されています。

代行商品等、従来の販促商品と比較し原価率の高い商品の売上比率が上がりつつあり、現時点においては原価率の上昇につながっているものの、各飲食店が個別で取り組むよりも当社が集約して業務代行していく方が外食産業全体にとって良いことだと考え、サービスを提供している」

この「代行商品等」の内訳について、ぐるなびは詳しく説明をしていませんが、考えられる3つのメニューについてウェブサイトからピックアップしてみます。

(1) Web広告出稿代行サービス

ひとつめは「Web広告出稿代行サービス」です。検索キーワードに応じて検索結果上に表示される「リスティング広告」を、店舗に代わってぐるなびが出すものと見られます。

しかしリスティング広告は、現在は競争が激しくクリック単価が高騰する一方で、利用者意識も変化し効果が弱まっているという指摘があります。出稿費用が嵩み、思ったほど効果が出ない飲食店の離反を招いている可能性があります。

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(2) 経営サポートサービス

経営支援ワンストップサービス「経営サポートサービス」も、「代行商品等」に含まれると見られます。「ぐるなび台帳」「ぐるなびPOSレジ+」の導入支援や、成功報酬型求人サービス、会計支援サービスなどがあります。

この中にはアルバイト求人情報サイトのリブセンスなど他社との連携で提供するものもあり、従来のウェブ販促よりも売上原価が高そうです。

経営サポート 【ぐるなびPRO for 飲食店】

https://www.gnavi.co.jp/ksupport/

業種/業態に関わらず、飲食店の事業規模や成長ステージにあわせた“バックヤード機能全般”を支援いたします。

(3) 法人向けサービス

新たなサービスである「法人向けサービス」も代行商品のひとつと考えられます。このサービスは、飲食店を接待などで利用する法人向けに「接待・会食予約」「お弁当デリバリー」「手土産・ギフト購入」などを、ぐるなびが代行するものです。

これは、飲食店ではなく利用客側からお金をもらう新しいビジネスモデルです。大口利用客をつかむことで、飲食店への影響力を強めることができると見ているのかもしれません。結果的に飲食店の業務支援にもなっています。

ぐるなびの法人向けサービス

https://r.gnavi.co.jp/business/

ぐるなびが持つ良質な飲食店、お弁当、手土産・ギフト情報をご提供し、法人様の接待、会議、商談、イベント、お歳暮など様々なビジネスシーンをサポート。経費精算処理や支払処理負担などの業務軽減・コスト削減を実現する法人向けサービスです。初期費用・月額料金・手数料全て無料です。

売上原価率が高い「代行商品等」ですが、人口減少が進む中、人手不足に悩む飲食店の業務負担を減らすことにつながるサービスは歓迎されることでしょう。

期待の「ネット予約手数料」は競争激化

また、決算説明会資料によると、スポット型サービスのうち「販促商品のスポット売上」は減少する一方で、「ネット予約手数料」の売上高は拡大しているとのことです。インスタグラムやGoogleとの連携も強化し、2018年10月から新しいネット予約のルートを拡張しています。

しかし、競合サービスの追い上げも激しくなっています。食べログでは、ネット予約手数料を含む「新プラン」への切り替えにより収益性が高めています。飲食店向け顧客台帳サービス「トレタ」などが「Googleで予約」と連携するなど新規参入もあり、Googleの存在感も増していきそうです。

参考:2019年3月期 第3四半期決算説明資料(2019年2月4日)
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2440/tdnet/1669024/00.pdf

食べログ事業が大躍進! カカクコムの決算説明会資料から占う将来性

https://tenshock.biz/articles/4601

「食べログの『課金制度』が飲食店に嫌われる理由」という記事を週刊ダイヤモンド(2018年11月17日号)に大々的に掲載された、株式会社カカクコム。食べログが飲食店向け販促サービスに導入した「新プラン」が話題ですが、会社の業績はどうなっているのか。同社の決算説明会の資料を参考に、情報を整理してみました。

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