【モバイルアプリ業界】サイバーエージェント、ミクシィ、LINE 比較――就職・転職するならどの会社

【モバイルアプリ業界】サイバーエージェント、ミクシィ、LINE 比較――就職・転職するならどの会社

今回はモバイルアプリ業界からサイバーエージェント、ミクシィ、LINEの3社について比較します。スマホが広い世代に普及した現在、アプリを提供する企業間競争は熾烈を極めます。今回は各社の財務面から特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

(1) サイバーエージェント

旧インテリジェンスから独立した藤田晋氏が1998年、ネット広告会社として創業。現在はアメーバブログなどのメディア事業、スマホ向けゲームアプリ開発のほか、ネットTV局「AbemaTV」をテレビ朝日と共同で設立するなど、事業領域は多岐に渡ります。

人材育成に定評があり、新卒者を子会社の社長に据えるなど若手社員に大胆に裁量を与える取り組みを行っています。2018年9月期の従業員数は、単体で1,540人、グループ全体(連結)で4,853人。従業員の平均年収(単体)は709万円です。

(2) ミクシィ

創業者で現会長の笠原健治氏が東大在学中に立ち上げたIT系求人サイト「Find Job!」の事業化に伴い、2000年に設立。2003年にサービス開始した汎用SNS「mixi」で事業が急拡大したものの、業績はしばらく低迷していました。

それが2013年10月にサービス開始した「モンスターストライク」の爆発的ヒットで、業績も急拡大しました。2018年3月期の従業員数は、単体で598人、グループ全体(連結)で775人です。従業員の平均年収(単体)は666万円です。

(3) LINE

韓国ネイバーの100%子会社「ハンゲームジャパン」として、2000年に日本で創業。オンラインゲームやNAVERまとめ等の事業を展開していました。2010年に旧ライブドアを買収し子会社化後、2012年に経営統合し、2013年に商号変更しました。

2011年の東日本大震災後にコミュニケーションアプリ「LINE」のサービスを開始し、事業の主軸をシフトしています。2017年12月期の従業員数は、単体で1,460人、グループ全体(連結)で5,100人です。従業員の平均年収(単体)は716万円です。

事業の収益構造

(1) 売上規模

決算月はサイバーエージェントが9月、ミクシィが3月、LINEが12月です。2015~2017年度の売上高の3期平均は、サイバーエージェントが3,672億円、ミクシィが2,017億円、LINEが1,490億円です。

サイバーエージェントとLINEは3期連続増収で、サイバーエージェントは売上高4,000億円を超えました。LINEは毎年約2割の増収で業容拡大に努めています。ミクシィは3期連続減収と転換期に入っています。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は、ミクシィが855億円、サイバーエージェントが326億円、LINEが118億円です。本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、ミクシィが42.2%、サイバーエージェントが9.1%、LINEが6.6%でした。

ミクシィの利益率が驚異的に高く、サイバーエージェントを大きく上回るダントツの営業利益です。ただし2017年度に買収した子会社のチケットフリマサービスがサービス停止となり、のれんの減損処理で利益が押し下げられています。一時的な要因はあるものの稼ぎ頭のゲーム事業が不調のため、今後の収益柱の早期構築が求められます。

AbemaTVへ巨額の先行投資を行うサイバーエージェントは3期連続の減益で、今後の収益化に期待が持たれます。LINEは2015年度こそ赤字だったものの、2016年度からは黒字転換して増益傾向です。

(3) セグメント別売上構成

サイバーエージェント(2018年9月期)のセグメント別売上高構成比は、インターネット広告や動画広告を手掛けるインターネット広告事業が54.5%と過半数を占めます。

子会社のCygamesを中心としたスマートフォン向けゲームアプリ開発を行うゲーム事業が34.8%で、アメーバブログやAbemaTVなどのメディア事業が5.9%、ベンチャー投資やファンドを運営する投資育成事業が1.0%、その他事業が3.8%です。

セグメント利益の構成比(営業利益全体を100とした場合)は、ゲーム事業が75.9%、インターネット広告事業が64.0%と2本柱。投資育成事業が7.9%、その他事業が5.5%。ゲーム事業の利益率の高さが光ります。

その一方で、メディア事業がマイナス53.3%と大きく足を引っ張っています。今後の収益柱として期待されているAbemaTVですが、現在投資フェーズであり、他事業の利益を活用している状況です。

所在地別売上高は、日本が9割超を占めます。

【平均年収703万円】サイバーエージェントの給与が高いのはなぜなのか

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サイバーエージェントの年収(給与・報酬)が丸わかり!同業他社との比較、平均年収の推移、役職・職種・入社年次・年齢別の年収、年収以外のメリットなど、データや口コミをもとに平均年収が高い理由や社員の収入実態に迫っていきます。今回注目する企業はインターネット広告国内シェアNo.1のサイバーエージェントです。就職・転職の参考に

ミクシィ(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、「モンスターストライク」などスマホ向けゲームアプリを開発するエンターテインメント事業が93.0%を占めます。SNS「mixi」等のメディアを運営するメディアプラットフォーム事業は7.0%です。

セグメント利益は、エンターテインメント事業が98.0%と構成比をさらに拡大。メディアプラットフォーム事業は2.0%です。

所在地別売上高は日本が9割超を占めます。

LINE(2017年12月期)は、LINEビジネス・ポータル事業単一セグメントです。

なお「2017年12月期通期 決算説明会」(2018年1月31日)資料によると、年間売上収益の構成は、広告事業が765億円(45.8%)、コミュニケーション事業が302億円(18.1%)、コンテンツ事業が401億円(24.0%)、その他事業が202億円(12.1%)で、広告事業の伸びが大きいです。

所在地別収益は、日本が72.6%、台湾が9.9%、タイやインドネシアなどその他地域が17.5%です。

LINEは転職者向き! 年収アップは中途採用が有利

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2017年11月、東洋経済ONLINEで報じられた「社員と役員の年収格差が大きいトップ500社」の第1位を飾ったLINE株式会社。この会社の年収についてはあまりいい話が聴こえてこない。LINEに就職してはいけないのか、また年収を上げる方法はないのかを口コミなどを頼りに探っていく。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、3社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

ミクシィは「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

サイバーエージェントとLINEは「成長企業型(営業+/投資-/財務+)」で、本業で生み出したキャッシュ以上に資金調達を伴いながら、投資を行っているタイプに分類できます。

(2) 収益性

企業が本業で生み出したキャッシュを測る「営業キャッシュフロー」の2015~2017年度の3期平均は、ミクシィが534億円、サイバーエージェントが261億円、LINEが156億円です。ミクシィが頭ひとつ抜けています。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、ミクシィが26.5%、LINEが10.5%、サイバーエージェントが7.2%。ここでもミクシィの高収益性が光ります。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、ミクシィが0.0倍、サイバーエージェントが0.5倍でほぼ無借金経営。サイバーエージェントは2017年度に初めて転換社債を発行し、400億円を市場から調達しました。LINEは3.0倍ですが、安全性に問題ありません。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、LINEがマイナス268億円、サイバーエージェントがマイナス193億円、ミクシィがマイナス30億円でした。3社とも3期連続で投資を増やしていますが、M&Aに積極的なLINEが特に金額を伸ばしています。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、ミクシィがプラス504億円、サイバーエージェントがプラス67億円、LINEがマイナス113億円です。ミクシィは投資余力を蓄えています。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、ミクシィがマイナス202億円。一方、サイバーエージェントはプラス110億円、LINEはプラス456億円です。

自己株式取得と配当支払いで資金返済を行うミクシィに対し、2016年度にIPOしたLINEと、2017年度に転換社債を発行したサイバーエージェントは資金調達超過となっています。

(5) 従業員収益性

3社の連結従業員数の3期平均は、サイバーエージェントが4,376人、LINEが3,971人、ミクシィが660人。3社とも3期連続で従業員数を増やしていますが、特にLINEの増員スピードが速く、2017年度でサイバーエージェントを抜きました。

従業員1人当たりの売上高の3期平均は、ミクシィが3億1296万円、サイバーエージェントが8,231万円、LINEが3,786万円です。同営業利益の3期平均は、ミクシィが1億3382万円、サイバーエージェントが757万円、LINEが244万円です。

従業員数が少ないミクシィが、1人当たりの売上・利益双方で圧倒的ですが、3期連続で減益となっている点が気になります。

まとめ

以上、3社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • インターネット広告業界ではトップクラスの規模を誇るサイバーエージェントは、次世代の収益の柱とすることを狙い、AbemaTVへの投資を強化しています。この投資の成果が実を結ぶかどうかが、同社の今後の成長の鍵です。

  • 現状では高収益体質のミクシィですが、主軸のゲーム事業がピークアウトを迎えており、買収企業の事業停止など投資面が必ずしもうまくいっていません。高い利益を出し続けるためには、次世代の柱づくりが必須です。

  • 2016年に上場したLINEは、着実な事業成長を遂げています。M&Aや優秀な人材の獲得を進めており、従業員数も増加しています。子会社のLINEフィナンシャルを中心に、みずほ銀行や野村證券との提携でFINTECH分野を強化していく見込みです。

競争が激しいスマホアプリ業界は、刻々とマーケットリーダーが変わっています。PCからスマホへ、ゲームからFINTECHなど新しい分野に競争が移る中、常に新しい事業領域の開拓やM&Aが求められています。

そのため優秀なエンジニアやマーケティング能力に長けた人材の確保においては非常に積極的です。目まぐるしく変化する中で働きながら成長を求める方にはぴったりな業界といえます。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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