「アレオレ詐欺」を見抜くには「主人公にしか語れない3つのこと」を質問しよう

「アレオレ詐欺」を見抜くには「主人公にしか語れない3つのこと」を質問しよう

人材研究所代表・曽和利光氏の連載「採用担当者があなたの会社を魅力的にする」。今回は「アレオレ詐欺」の対策について考えます。他人の成果を、さも自分の手柄であるかのように吹聴する人を採用してしまうと、あとあと大変なことになりますよ。


ウソの手柄話を見抜くことは難しい

リクルートの元同僚の常見陽平さんの発言で聞いて以来、言い得て妙だと使わせていただいている言葉に「アレオレ詐欺」があります。

要は他人の手柄を、まるで自分がやったかのように「アレはオレがやった」とアピールする詐話のことを指します。面接官であれば誰もが「あるある」と納得するでしょう。

周辺的にちょっと関わっていただけなのに、自分が中心人物であったかのように話すアレオレ詐欺を見抜くことは、面接官にとってなかなか難しいものです。

このため、採用した人が入社後に「口ほどでもないこと」に気づく残念なケースを至るところで伺います。しかし、実はこの「アレオレ詐欺」を見抜く方法があるのです。

応募者は3つのことしか話さない

新卒であれ中途であれ、応募者はたいてい自分の過去のエピソードについて、3つのことしか話しません。それは「あった問題」「取った対策」「出た結果」です。

スターウォーズもドラえもんも、物語はこの3つが骨子になります。

・最初に、何か問題が起こり(ジャイアンにおもちゃを取り上げられた)
・それに対し、何らかの対策を打ち(ドラえもんに頼んでひみつ道具を出してもらった)
・その結果、ハッピーエンドがやってきます(おもちゃを取り返した)

このこと自体は問題ではありませんが、これしか言わないと、彼が主人公なのか、脇役なのか分かりません。というのも、顕在的な出来事である「問題」「対策」「結果」は、そばで見ているだけでも十分に語れてしまうものだからです。

「頭の中」は主人公でないと語れない

本当の中心人物を見分けるためには、どうすればよいか。それは「主人公にしか語れない3つのこと」を質問すればよいのです。

1つめは「環境」です。それがどのような環境においてなされたのか、ディテールを語れるかどうかを確認しましょう。コミットしていた人間は、詳細の記憶があるはずです。固有名詞や数字など、具体的エピソードの「舞台装置」を相手がイメージできるように語れるか、聞いたら答えられるかが重要です。

2つめは「対策」です。対策を決めるのに「原因をどう分析したか」「原因を解決するため、どんなアイデアがあり、最終的になぜその対策に決めたか」という思考を確認しましょう。頭の中は外からは見えません。自分で考えなければわからないでしょう。

3つめは「試行錯誤」です。それを成し遂げるために、どんな苦労があったかのを確認しましょう。トラブルの火種があれば、消火するのはたいていの場合は中心人物の仕事で、周辺人物はボヤに気づかない場合も多いです。ですから、これを語れるかどうかも鍵になります。

この3つの問いに対する答えの明確さが、応募者が「アレオレ詐欺」なのか、「本物の主人公」なのかを見極めるポイントになるのです。

筆者:曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)。
■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/
■オンラインサロン「「本当のこと」しか言わない就職の学校」
https://lounge.dmm.com/detail/1638/

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人事コンサルティング、採用アウトソーシング、新卒人材紹介を行う株式会社人材研究所 代表取締役社長。

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