新卒より「専門性の高い経験者採用」を優先? NTTデータとパナソニックが方針転換

新卒より「専門性の高い経験者採用」を優先? NTTデータとパナソニックが方針転換

日本型経営といえば「新卒一括採用」と「終身雇用」、それに「年功序列」が鉄の掟といわれてきたが、有名大企業でその一角が崩れるかもしれない。背景にはテクノロジー分野での事業環境の大変化と、若年層の急速な人口減少がある。転職・中途採用市場に変化は起こるか?


システムインテグレータ最大手のNTTデータは、専門性の高い人材を中途採用で迎え入れるための「新しい雇用区分」を作ると発表した。大手電機メーカーのパナソニックは中途採用を積極化し、2019年度にも新卒採用を上回る見込みだという。

既存社員への「良い影響」も期待

NTTデータが12月4日に発表した新しい制度の名称は「Advanced Professional(以下:ADP)」。制度新設の趣旨を、事業環境の変化に対応し、新サービスを創出するためとし、ADP社員を次のように位置づけている。

「先進的なサービスの開拓や市場化をリードした経験・実績をもつプレーヤーが、顧客特性やIT開発を熟知した社内メンバーとコラボレーションすることにより、お互いに良い影響を与えることにも期待しています」

要するに、外部人材を積極的に受け入れることで、グローバル市場の風を取り込み、井の中の蛙となった既存人材と社風に刺激を与えようということだ。

多くの日本企業では、出世コースごとに入社から定年までの「給与テーブル(表)」が細かく決められている。したがって、中途採用で入社してくる社員をどの等級に組み込むかについて、問題となることも少なくなかった。

年齢で同期社員の平均的な等級に組み込んだり、検討や判断自体がわずらわしいとして中途採用自体をためらったりするケースもあった。生え抜き社員に気を使って低い等級から始めさせたために、中途入社したばかりの社員が不満を抱えて早期に退職したというケースも聞く。

これだけ強く打ち出すのであれば、ADP社員は既存社員とは別の評価報酬体系となる可能性が高い。いくら専門性を高めて画期的な成果を上げたのに、年功序列的な待遇が変わらないと不満に思う人材の中には、惹かれる人もいるのではないだろうか。

かつては裏切り者扱いの「出戻り」も歓迎

パナソニックは「脱家電」を掲げ、経営戦略の大転換を図っている最中だ。戦略が変われば、必要な人材や組織風土も変わるのは当然のこと。しかし典型的な日本企業では、社員は「メンバーシップ型雇用」の下、仕事以前に「仲間」として組織の一員となる。

これにより解雇や中途採用などによる人材の出入りも極端に少なくなるが、これでは事業環境の非連続的な変化に対応することはできない。社内の異動という方法もあるが、それだけですべて対応することが困難なのは明らかだ。

高度成長期の画一的・大量生産の時代には適していた組織文化も、競争相手がグローバル化し、高い技術力の少数精鋭のベンチャー企業に対抗する足かせになりかねない。「外の風」にさらされた人材を採用したがる会社の危機感が伝わってくる。

中途採用が新卒を上回る見込みも、「若者人口」の急激な人口減少を考えれば当然だ。2000年には3万5000人あった20代・30代の人口は、2020年には2万6000人と約4分の3に減る見込みで、質を維持した人数の確保が難しい。

なお、パナソニックは中途採用だけでなく、他の業界やベンチャー企業などで新たな挑戦をするために一度は退職した社員を積極的に迎え入れる。かつては「裏切り者」扱いされた退職者の再入社を認めること自体、かなり大きな変化といえるだろう。

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