「最終面接官」のジャッジは絶対ではない 採用担当者は「カルマ」を受け入れよ

「最終面接官」のジャッジは絶対ではない 採用担当者は「カルマ」を受け入れよ

人材研究所代表・曽和利光氏の連載「採用担当者があなたの会社を魅力的にする」。社長など「最終面接官」のジャッジは絶対というのが、多くの会社の決まりでしょう。しかし曽和氏は、応募者を一番よく知る採用担当者がその結果に納得できなければ、責任をもって物申すべきだと指摘します。


「復活組」から幹部になる人もいる

私が以前所属していた某社では、採用担当者がかなりのパワーを持っていて、自分の担当している学生が最終面接で不合格となっても、異議申し立てができました。

最終面接官は複数いたので、ある人がNGとしたのであれば、別の人に見てもらうことも可能でした。そうして一度不合格だった人が、内定になったことも多々ありました。

誰とは言えませんが、そういう「復活組」の中には、その会社の中核人材、幹部人材になっている人は数え切れないほどいます。グループ会社の社長までいます。

このことからも、最終面接だからといって、神のご託宣でもあるまいし、それほど絶対的に正しい評価などではないことがわかります。

応募者を一番知っているのは「採用担当者」

というのも、応募者のことを一番よく知っているのは採用担当者だからです。ある応募者の担当になって、キャリアの相談に乗り、ライフヒストリーを聞いて信頼関係を深めている。そういう採用担当者が、一番応募者を知っているのは当然です。

むしろ、たった30分とか1時間だけの面接でしか応募者と触れることのない最終面接官が、応募者のことを一番よく知っているわけがありません。

また、最終面接官は経営者や社長などであることが多いと思いますが、彼らは事業運営が本業です。最終面接は事前に絞り込まれた人が対象なので、普段から多くの応募者を面接しているわけでもありません。そう考えると、面接スキルすらそれほど高くない可能性もあります。

そういう彼らのジャッジを、なぜ応募者のことを一番知っているはずの採用担当者が、かくも素直に受け入れてしまうのでしょうか。採用担当者は、その責任をきちんと果たさねばなりません。

社長が面接慣れをしているとは限らない

「推す」のも「見逃す」のも責任は同じ

もしも採用担当者が「この人は絶対に当社にとって必要で、当社に合っている」と思うのに、その人の入社を実現することにコミットできない状態があるとすれば、その最大の要因は、採用担当者自身の「人を見る目」への自信のなさでしょう。

採用という仕事は、好むと好まざるとにかかわらず、他人の人生を大きく変えてしまう恐ろしい仕事です。誠実な人ほど、何か判断をしたり主張をしたりすることに尻込みしてしまうのは、当然かもしれません。

しかし、推すのも見逃すのも、実は同じです。推して結局入社することになれば、その結果が白日のもとにさらされて批判を受ける可能性がありますが、本来入るべき人が落とされていくのを見逃しても、永遠に「ばれない」だけです。責任は同じです。

採用担当者になった以上、このカルマから逃れることはできません。是非、このカルマを受け入れる勇気を持って、採用という仕事に臨んでください。

筆者:曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『就活「後ろ倒し」の衝撃』(東洋経済新聞社)。
■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/
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人事コンサルティング、採用アウトソーシング、新卒人材紹介を行う株式会社人材研究所 代表取締役社長。

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