【アフィリエイト業界】アドウェイズ、ファンコミュニケーションズ、インタースペース、バリューコマース 比較 就職・転職するなら?

【アフィリエイト業界】アドウェイズ、ファンコミュニケーションズ、インタースペース、バリューコマース 比較 就職・転職するなら?

今回はアフィリエイト業界から、アドウェイズ、ファンコミュニケーションズ、インタースペース・バリューコマースについて比較します。ネット広告戦略の一つであるアフィリエイトのマーケティングに長けた4社の財務面からそれぞれの特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


アフィリエイトとは?

アフィリエイトは「成功報酬型広告」のことです。個人が運営するサイトやブログなどに企業の商品やサービスの広告を載せ、広告から商品が購入されると、生じた利益に応じて成功報酬が支払われる仕組みです。

今回取り上げる4社は、広告を掲載するサイトやブログの運営者と、広告主をつなぐ「アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)」と呼ばれる広告代理店です。

会社の成り立ち

(1) アドウェイズ

2006年に東証マザーズに上場した国内トップのアフィリエイト企業です。モバイル系アフィリエイトで成長しており、全自動で広告のマッチングを行うマーケティングプラットフォーム「UNICORN」を開発・運用しています。
日本のほか、アジアやアメリカでもアフィリエイト事業を展開しています。単体の平均年間給与は552万円です。

(2) ファンコミュニケーションズ

アフィリエイトプログラム運営代行サービスの「A8.net(えーはちねっと)」を運営するASP企業です。国内では最も早く、2005年に上場しました。
このほか、メディアを多数集め広告を配信する国内最大級のスマートフォン向けアドネットワーク「nend(ねんど)」などを運営しています。単体の平均年間給与は500万円です。

(3) インタースペース

個人客を中心としたアフィリエイト型広告サイト「アクセストレード」を運営しています。
近年はメディア事業も展開しており、「ママスタジアム」や「ママスタセレクト」などの自社メディアを運営しています。単体の平均年間給与は511万円です。

(4) バリューコマース

ヤフー傘下のアフィリエイト型ネット広告代理店企業です。一般向けのアフィリエイトサービスサイト「バリューコマースアフィリエイト」を運営しています。
2015年にCRMツール「R∞(アールエイト)」を運営するデジミホ社を買収し、2本目の収益柱として強化中です。従業員の単体平均年収は617万円です。

事業の収益構造

(1) 売上規模

アドウェイズは3月決算、ファンコミュニケーションズとバリューコマースが12月決算、インタースペースが9月決算です。2014年度~2016年度の売上高の3期平均は、アドウェイズが393億円、ファンコミュニケーションズが351億円、インタースペースが237億円、バリューコマースが158億円です。

2017年度は前年比で業績をやや落としている会社もありますが、各社とも右肩上がりで業績を積み上げています(インタースペースのみ予想値)。スマートフォン向けコンテンツの爆発的な増加を背景に、業界が大きく成長してきたことが分かります。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は、ファンコミュニケーションズが59億円、バリューコマースが13億円、インタースペースが8億円、アドウェイズが7億円です。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、ファンコミュニケーションズが17.0%、バリューコマースが8.6%、インタースペースが3.2%、アドウェイズが1.8%でした。

ファンコミュニケーションズの営業利益の大きさ、利益率の高さが目を引きます。一方、売上高ではトップだったアドウェイズは、他社にかなり水をあけられています。

(3) セグメント別売上構成

アドウェイズ(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、インターネットを活用した広告事業が全体の83.57 %を占めます。海外でのインターネットマーケティングを行う海外事業が14.74%、スマートフォンアプリ開発・運営およびメディア運営を行うアプリ・メディア事業が1.66%、その他事業が0.03%です。

セグメント利益は、広告事業が全体の134.02%を稼いでいる計算となり、他の事業の赤字をカバーしています。海外事業がマイナス7.97%、アプリ・メディア事業がマイナス11.69%、その他事業がマイナス14.42%です。

所在地別収益は、日本が88.04%。その他アジアが11.35%、北米が0.48%、欧州が0.12%です。

ファンコミュニケーションズ(2017年12月期)のセグメント別売上高構成比は、アフィリエイト広告サービスを行うCPA型アドネットワーク事業が65.97%、スマートフォン向け運用広告サービスを行うCPC/ターゲティング型アドネットワーク事業が32.85%、その他事業が1.18%です。

セグメント利益は、CPA型アドネットワーク事業が72.70%を占め、CPC/ターゲティング型アドネットワーク事業が27.02%、その他事業が0.28%です。地域別は国内が9割以上を占めます。

インタースペース(2017年9月期)のセグメント別売上高構成比は、アフィリエイトサービスを提供するインターネット広告事業が全体の97.6%、メディア運営事業が2.4%です。

セグメント利益は、インターネット広告事業が89.57%、メディア運営事業が10.43%です。メディア運営事業の営業利益率が16.8%と、主力のインターネット広告事業の3.6%を大きく上回る利益率です。地域別は国内が9割以上を占めます。

バリューコマース(2017年12月期)のセグメント別売上高構成比は、アフィリエイトサービスを提供する広告事業が91.21%を占めます。ネットとリアルの顧客管理サービスを提供するCRM事業が8.79%です。

セグメント利益では、広告事業が80.73%、CRM事業が19.27%です。地域別は国内が9割以上を占めます。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、4社の企業活動の特徴を見てみましょう。ただし、インタースペースのみ9月決算のため、各社とも2014年度~2016年度の3期平均で計算しています。

(1) 企業タイプ

アドウェイズ、インタースペース、バリューコマースの3社ともに「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

ファンコミュニケーションズは、投資キャッシュフローの3期平均がプラスになっており、形式的には「ダウンサイジング型(営業+/投資+/財務-)」です。ただし営業キャッシュフローは潤沢で、事業は成長しています。投資キャッシュフローも2017年度はマイナス13億円になっており、実質的に「優良企業型」といっていいでしょう。

(2) 収益性

企業が本業で生み出したキャッシュを測る「営業キャッシュフロー」の2014年度~2016年度の3期平均は、ファンコミュニケーションズが39.5億円、バリューコマースが10.2億円、インタースペースが9.6億円、アドウェイズが4.9億円です。

アドウェイズは2016年度の営業キャッシュフローはマイナス5,400万円でした。この背景には、海外への先行投資の結果、当期純損失となり、営業キャッシュフローもマイナスに転じたという事情があります。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、ファンコミュニケーションズが11.3%、バリューコマースが6.5%、インタースペースが4.0%、アドウェイズが1.4%でした。

ファンコミュニケーションズの平均的な収益性の高さが光りますが、単年度で見ると、2017年度のバリューコマースの営業キャッシュフローマージンは13.1%と、ファンコミュニケーションズの12.3%を上回っています。

(3) 安全性

4社の有利子負債残高の3期平均は、インタースペースが500万円、他の3社は有利子負債残高0で運営されています。設備投資などがほぼ要らないビジネスなので、重い負債を抱えずに行うことができています。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、バリューコマースがマイナス9.3億円、アドウェイズがマイナス7.2億円、インタースペースがマイナス2.1億円。ファンコミュニケーションズのみプラス0.9億円でした。ファンコミュニケーションズのプラス要因は、投資有価証券の償還が主要因です。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、ファンコミュニケーションズがプラス40.3億円、インタースペースが7.5億円、バリューコマースが0.9億円で、アドウェイズが2.3億円のマイナスでした。

アドウェイズのマイナスは前述した通り、海外市場への投資を優先していることが主要因で、今後の投資の効果を見ていく必要があります。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、ファンコミュニケーションズがマイナス10.6億円、アドウェイズがマイナス5.2億円、バリューコマースがマイナス4.1億円、インタースペースがマイナス0.8億円です。各社共に配当もしくは自社株買い等、株主還元による資金返済を行っています。

(5) 従業員収益性

連結従業員数の3期平均は、アドウェイズが826名、インタースペースが373名、ファンコミュニケーションズが299名、バリューコマースが224名です。各社ともに3期連続で従業員数を伸ばしていますが、特にアドウェイズの従業員の多さがひとつ頭を抜けています。

従業員1人当たりの売上高の3期平均は、ファンコミュニケーションズが1億1800万円、バリューコマースが7000万円、インタースペースが6300万円、アドウェイズが4700万円です。ファンコミュニケーションズの高さが光ります。

従業員1人当たりの営業利益の3期平均は、ファンコミュニケーションズが2010万円、バリューコマースが600万円、インタースペースが210万円、アドウェイズが80万円です。

単体平均年間給与が500万円のファンコミュニケーションズは、従業員1人当たり給与の4倍の営業利益を稼いでいる計算となり、生産性の高さが伺えます。

まとめ

以上、4社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • 海外進出を進めているアドウェイズは先行投資がかさみ、低い収益力で推移しています。800人を超える従業員数をうまく活用したビジネス拡大が課題になります。
  • 高い収益性のファンコミュニケーションズですが、将来への投資が少ない印象です。フリーキャッシュフローが潤沢なため、次の収益柱の構築に向けての余力はあります。
  • インタースペースはメディア事業が成長しており、収益に寄与しています。アフィリエイト事業一本足の事業ポートフォリオから脱却を図っています。
  • バリューコマースは親会社のヤフーによるバックアップを受けられる体制が取られています。ネットのみならずリアル店舗との関係構築を図り、CRM事業を伸ばしています。

Amazonやヤフー、楽天やZOZOTOWNなどを例に上げるまでもなく、人々がインターネットを通じて買い物をする機会はさらに増えるでしょう。そんな中で、多くの人が閲覧し、購入サイトに直接リンクできるインターネット広告は、今後も拡大が見込まれます。

その一方で、競争が激化する中、アフィリエイト企業は次の事業戦略を投資家から求められています。事業ポートフォリオが刻々と変化する業界ですので、転職市場としては様々な人材が求められます。新しいことにチャレンジしたい方にはぴったりな業界と言えましょう。

この企業情報の記事作成

アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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