【ベアリング業界】ジェイテクト、日本精工、NTN、ミネベアミツミ 比較――就職・転職するならどの会社?

【ベアリング業界】ジェイテクト、日本精工、NTN、ミネベアミツミ 比較――就職・転職するならどの会社?

今回はベアリング業界から、大手のジェイテクト、日本精工、NTN、ミネベアミツミについて比較します。動く機械に必要不可欠な部品であるベアリング(軸受)を製造する業界4社を財務面から分析し、特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


ベアリング(軸受:じくうけ)とは

ベアリングは自動車や飛行機をはじめ、家電製品やパソコン、ロボット等の「動く機械」に必ず使われているリング状の部品です。モーターなど回転する部品にベアリングを取り付けることで機械の動きを滑らかにすると同時に、摩耗による金属劣化を防ぐことができます。

日本語では「軸受(じくうけ)」ともいいます。一般の消費者が目にする機会はあまりありませんが、今後の自動車のEV化に伴い、電動モーターやアクチュエータなどにおいてニーズが高まることが予想されています。

会社の成り立ち

(1)ジェイテクト

トヨタグループ系の工作機械メーカーです。2006年に光洋精工と豊田工機の合併で誕生しました。売上の過半が自動車業界向けで、ベアリングとステアリングの製造を手掛けています。

特に電動パワーステアリングでは世界トップシェアです。海外売上高比率は6割超。従業員の単体平均年収は701万円です。

【トヨタグループ】(株)ジェイテクトに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/288

就職・転職するなら「株式会社ジェイテクト」。トヨタグループ主要13社に属する大手機械・自動車部品製造会社である。2006年に光洋精工と豊田工機が合併して誕生した。主力製品は自動車のステアリング、駆動系部品、軸受(ベアリング)、工作機械、メカトロニクス製品など。「世界を感動させるモノづくり」を目指している。

(2)日本精工

略称NSK。ベアリングにおいて国内トップシェアを有し、一般産業向けおよび自動車向け共に世界で名の知られた企業です。電動パワーステアリングやボールねじは世界シェアトップクラスです。

海外売上高比率は6割超です。従業員の単体平均年収は762万円です。

【軸受のパイオニア】日本精工(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/293

就職・転職するなら「日本精工株式会社」。1916年に日本で初めて軸受(ベアリング)の開発・製造を成功させた会社。売り上げの6割を占める軸受けのほか、自動車の電動パワーステアリング、工作機械のボールねじなどを手がける。ボールねじは世界首位、電動パワステは2位、軸受けは3位。[NSK]

(3)NTN

ベアリングの日本シェアは、日本精工に次いで2位につけています。自動車の車輪に使われるハブベアリングで世界トップシェア、エンジンからの動力をタイヤに伝えるドライブシャフトで世界シェア2位と自動車向けのベアリング製造が強い企業です。

社名の意味付けは「For New Technology Network(新しい技術で世界を結ぶ)」。2018年に創業100年を迎え、次の時代に向けEV向けシステムの開発に取り組んでいます。従業員の単体平均年収は715万円です。

【ベアリングに強み】NTN(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/282

就職・転職するなら「NTN株式会社」。軸受(ベアリング)を主力商品とし、グローバルに事業を展開する精密機器メーカー。産業機械分野では、あらゆる種類の軸受に新技術を付加して販売。アフターマーケット市場では、補修市場を対象とした事業を、自動車市場では新しい技術と新商品の提案、電気自動車関連商品の開発にも注力している。

(4)ミネベアミツミ

2017年にベアリングメーカーのミネベアと、電機部品メーカーのミツミ電機が経営統合により誕生した会社です。長野県の御代田町に本社を置き、生産額の6割をタイが占めています。

極小ベアリングやリチウムイオン電池用保護IC、HDD用ピポットアッセンブリで世界トップシェアです。従業員の単体平均年収は702万円です。

【極小ベアリング】ミネベアミツミ(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/407

就職・転職するなら「ミネベアミツミ株式会社」。1951年、日本初のミニチュアベアリング専業メーカーとして誕生。長野県北佐久郡に本社を置き、ベアリング、モーターを中心に手がけている。タイや中国に海外工場をおくなどグローバル展開もしており、極小ベアリングでは世界シェア6割を誇る。2017年1月にミツミ電機(株)と経営統合し、ミネベアミツミ(株)に社名を変更した。

事業の収益構造

(1) 売上規模

各社とも3月決算。2016年3月期~2018年3月期の3期間平均と、2019年3月期の予想値を見ていきます。売上高の3期平均は、ジェイテクトが1兆3,865億円、日本精工が9,816億円、NTNが7,149億円、ミネベアミツミが7,093億円です。

4社とも2018年度の予想で過去最高売上を記録する予定。ミネベアとミツミ電機の経営統合は2017年1月で(存続会社はミネベア)、2016年度決算からミツミ電機の業績が加わったことが増収要因です。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は、日本精工が843億円、ジェイテクトが803億円、ミネベアミツミが599億円、NTNが410億円です。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、日本精工が8.6%、ミネベアミツミが8.4%、ジェイテクトが5.8%、NTNが5.7%でした。

日本精工は売上高ではジェイテクトより低いものの、売上高利益額では上回っています。日本精工は、工作機械向けベアリングやボールねじで世界トップシェアを取っており、世界的な工作機械需要の高まりによって利益を伸ばしています。

(3)セグメント別売上構成

ジェイテクト(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、電動パワーステアリングやベアリングの製造を行う機械器具部品事業が88.8%で、売上高の大半を占めています。その他工作機械や制御機器の製造を行う工作機械事業が11.2%です。

セグメント利益は、機械器具部品事業が84.2%、工作機械事業が15.8%で、利益率では工作機械事業がやや上回っているようです。

所在地別収益は、日本国内が37.2%で、海外収益が62.8%を占めています。内訳は、アメリカが15.5%、欧州が15.3%、アジア・オセアニアが12.3%、中国が11.9%、北米が5.5%、その他地域が2.3%です。

日本精工(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、自動車向けベアリング等の製造を行う自動車事業が70.9%を占めます。工作機械向け部品を製造する産業機械事業が26.1%、その他事業が3.0%です。

セグメント利益は自動車事業が66.0%、産業機械事業が28.3%、その他事業が5.7%です。

所在地別収益は、日本国内が36.5%、海外収益が63.5%を占めています。海外の内訳は、中国が20.8%、米州が15.2%、欧州が13.5%、その他アジアが14.0%です。

NTN(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、ベアリング製造を中心に地域毎の事業部制を敷いています。日本事業が28.7%、海外事業が71.3%と高い割合です。海外の内訳は米州事業が26.1%、欧州事業が25.3%、アジアその他事業が19.9%です。

セグメント利益は、アジアその他事業が52.3%と過半数を占め、利益率の高さが光ります。日本事業は21.4%、米州事業が18.9%、欧州が7.5%です。

ミネベアミツミ(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、液晶やHDD向けの電子部品の製造を行う電子機器事業が51.4%と過半数を占めます。

ミツミ電機の強みであった半導体デバイスや電源部品の製造を行うミツミ事業が28.5%、ベアリング製造を行う機械加工品事業が20.1%、その他事業が0.1%です。

セグメント利益では、機械加工品事業が44.8%、電子機器事業が32.7%、ミツミ事業が22.6%、その他事業が0.1%のマイナスです。

所在地別収益は、日本が25.3%。海外収益の74.3%は同業者のNTNを上回る高水準です。海外の内訳は、中国が29.3%、米国が20.4%、欧州が8.4%、タイが4.5%、その他地域が12.1%です。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

4社とも「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

ただし各社それぞれ戦略が異なります。そこで以下ではキャッシュフローに着目して詳しく分析していきます。

(2) 収益性

企業が本業でキャッシュを生み出す力を測る「営業キャッシュフロー」の3期平均は、ジェイテクトが1,031億円、日本精工が868億円、ミネベアミツミが744億円、NTNが568億円です。ミネベアミツミが3期連続で営業キャッシュフローを伸ばし、。

営業キャッシュフローを売上高で割って収益性を測る「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、ミネベアミツミが10.4%、日本精工が8.8%、NTNが8.0%、ジェイテクトが7.4%でした。ベアリング事業の割合が低いミネベアミツミの収益性の高さが光ります。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、ジェイテクトが2.1倍、ミネベアミツミが2.3倍、日本精工が3.2倍、NTNが5.8倍です。いずれも安全性に問題がありません。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、ジェイテクトがマイナス757億円、日本精工がマイナス508億円、ミネベアミツミがマイナス503億円、NTNがマイナス411億円です。ジェイテクトの積極的な投資が目立ちます。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、日本精工がプラス359億円、ジェイテクトが275億円、ミネベアミツミが241億円、NTNが157億円です。4社ともフリーキャッシュフローがプラスであるため、次の戦略に向けて備えられています。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、日本精工がマイナス521億円、ミネベアミツミがマイナス162億円、NTNがマイナス146億円、ジェイテクトがマイナス37億円です。

ミネベアミツミは3期連続で配当を含め資金返済傾向にある一方、他の3社は資金調達方向です。特にジェイテクトは、2017年度に長期借入金の増加と社債の発行で603億円の資金流入となっています。

(5) 従業員収益性

連結従業員数(棒グラフ)の3期平均は、ミネベアミツミが73,263名、ジェイテクトが46,018名、日本精工が31,650名、NTNが24,756名です。ジェイテクトとNTNは、3期連続で従業員数を増やしています。

従業員1人当たりの営業利益(折れ線グラフ)の3期平均は、日本精工が2.7百万円、ジェイテクトとNTNが1.7百万円、ミネベアミツミが0.8百万円です。従業員数が4社中最も大きいミネベアミツミの一人あたり利益の低さが気になります。

まとめ

以上、4社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • トヨタグループのジェイテクトは、電動パワーステアリングとベアリングの販売が好調で、4社で最も営業キャッシュフローを稼げています。今後は工作機械と自動車のEV化の需要が業績を後押しすることが見込まれます。
  • 日本精工は4社中最もフリーキャッシュフローのプラスが多く、次の事業展開に向けた余力を持っています。従業員数の変動が少なく、従業員1人当たりの営業利益が4社で最も高い点から、従業員の質の高さがうかがえます。
  • 創業100年を迎えたNTNは、ベアリングを主軸に事業を行うものの、他3社に比べて売上高・利益共に劣ります。また安全性が4社で最も低い点が気になります。次の100年に向けて収益性の改善が望まれます。
  • ミネベアミツミは、経営統合によってミネベアの事業領域とミツミ電機の事業領域を相互に補っています。売上高は3期連続増収で、営業利益も増益傾向にあります。一方で、従業員数に対する収益性が低い点が気になります。

一般の方には馴染みが薄いベアリングですが、自動車や機械には欠かせない部品です。世界のベアリング業界の売上高ランキングで、ジェイテクトが2位、日本精工が4位、ミネベアミツミ5位、NTNが6位と日本勢が上位を占めます。

仕事柄世界のメーカーがお客様であるため、グローバルな働き方を希望する方や最先端技術に関わっていきたいと考えている方にピッタリな業種です。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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