【CRO・SMO業界】シミック、EPS 比較――就職・転職するならどの会社?

【CRO・SMO業界】シミック、EPS 比較――就職・転職するならどの会社?

今回はCRO・SMO業界から、シミックホールディングスとEPS(イーピーエス)ホールディングスについて比較します。医薬品開発のスペシャリストが集う業界として転職市場で注目を集めるトップ2社を財務面から分析し、特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


CRO・SMOとは

CROとは医薬品開発業務受託機関(Contract Research Organization)のこと。製薬会社から業務委託を受けて、治験(臨床試験)を含むさまざまな医薬品開発業務を行います。CROには、CRA(臨床開発モニター:Clinical Research Associate)が在籍しています。

SMOとは治験施設支援機関(Site Management Organization)のこと。医療機関(治験実施施設)から業務委託を受けて、治験に関わる医師や看護師、事務局の業務支援を行います。SMOには、CRC(治験コーディネーター:Clinical Research Coordinator)が在籍しています。

会社の成り立ち

(1) シミックホールディングス

1985年に創業。1992年に日本で初のCRO企業として事業を開始。アステラス製薬を中心に新薬開発のアウトソーシング受託を伸ばしており、企業サイトには「日本の新薬の約8割に関わっています」とあります。

従業員数は連結で4,704人、単体で196人。持株会社単体の平均年収は837万円ですが、グループ全体の傾向を必ずしも反映していないかもしれません。

(2) EPSホールディングス

1991年に中国人の厳浩氏によって創業。社名のEPSは組織理念である「Ever Progressing System(日々新たに、また日に新たなり)」の略です。1999年には日系CRO企業で初めて中国進出を果たし、欧米やインドのCRO企業とも業務提携を結んでいます。

従業員数は連結で5,209人、単体で21人。持株会社単体の平均年収は828万円ですが、グループ全体の傾向を必ずしも反映していないかもしれません。

事業の収益構造

(1) 売上規模

両社はともに9月決算。2015年9月期~2017年9月期の3期間平均と、2018年9月期の予想値を見ていきます。売上高の3期平均は、シミックホールディングス(以下シミック)が611億円、EPSホールディングス(以下EPS)が528億円です。

両社とも右肩上がりに売上高を伸ばし、2017年9月期も増収を見込んでいます。EPSは2018年5月に米国のCRO企業のメデリス(Medelis)社の買収を完了し、今後の規模拡大の布石を打っています。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は、EPSが64億円、シミックが29億円です。本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、EPSが12.2%、シミックが4.6%でした。

がん治療薬のグローバルスタディ(世界同時治験)が強いEPSは10%を超える高い利益率を誇っています。シミックも利益率を改善しており、その差は縮まりつつあります。

(3) セグメント別売上構成

シミックホールディングス(2017年9月期)のセグメント別売上高構成比は、CRO事業が52.1%、受託の幅を治験薬製造、商用生産まで広げたCDMO(医薬品受託製造開発機関:Contract Development Manufacturing Organization)事業が22.0%で、合わせて全事業の4分の3を占めます。

また、SMO業務に該当するヘルスケア事業が11.7%、MR(医療情報担当者)の業務代行であるCSO事業が10.5%、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の開発を行うIPM事業が3.6%です。

セグメント利益は、CRO事業が82.5%と大半を占め、ヘルスケア事業が13.9%、CDMO事業が6.5%、CSO事業が5.9%、IPM事業がマイナス8.9%です。

所在地別収益は、日本が87.6%、米国が9.7%、その他地域が2.7%です。

EPSホールディングス(2017年9月期)のセグメント別売上高構成比は、CRO事業が44.7%、SMO事業が23.0%、CSO事業が13.6%、同社の中国子会社である益新事業が10.2%、グローバルリサーチ事業が7.9%、その他事業が0.5%です。

セグメント利益は、こちらもCRO事業が77.2%と最大となっており、SMO事業が19.7%、CSO事業が5.6%、益新事業が2.9%、その他事業が0.9%。グローバルリサーチ事業がマイナス6.2%となっています。

所在地別収益は、日本が84.4%、中国が9.5%、その他地域が6.1%です。2018年5月に買収した米国・メデリス社の業績が2018年9月期に組み入れられるため、所在地別収益構成が今後変わってきます。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

シミックは「成長企業型(営業+/投資−/財務+)」で、本業で生み出したキャッシュのみならず資金調達を伴いながら積極的な投資を行っているタイプです。

EPSは「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

(2) 収益性

企業が本業で生み出したキャッシュを測る「営業キャッシュフロー」の3期平均は、EPSが57億円、シミックが41億円です。2016年に医薬品卸大手のスズケンと資本業務提携を行うなど事業拡大に積極的なEPSは、3期連続でキャッシュフローを増やしています。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、EPSが10.9%、シミックが6.7%でした。EPSの収益性の高さが光ります。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、EPSが0.6倍と実質無借金経営。シミックは4.4倍です。

両社ともに安全性に問題はありませんが、EPSは2017年9月期決算で自己資本比率が65%と、財務状況はかなり健全です。シミックは35%でした。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、シミックがマイナス52億円、EPSがマイナス21億円で、シミックの方が積極的です。両社とも海外展開を進めているため、3期連続でマイナス額を増やしています。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、EPSがプラス36億円で、シミックがマイナス11億円です。シミックは営業キャッシュフロー以上の投資を行っているため、金融機関からの借り入れなどの資金調達が必要な状態です。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、EPSがマイナス2億円で、シミックがプラス7億円です。借入を積極的に活用しているシミックは資金流入となっています。

まとめ

以上、2社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • シミックは2018年3月に日本政策投資銀行と資本業務提携を行い、CDMO(医薬品受託製造開発機関)事業を行う子会社の株式を一部譲渡の上、資金調達を行っています。投資先行のため収益性が悪いですが、今後どのように改善していくかが気になります。

  • EPSは、売上高こそシミックの後塵を拝していますが、収益性では大きく上回っていますし、財務的にも安定しています。中国出身の厳社長が率いており、成長が期待される中国市場での拡大を図っているところも魅力です。

世界的に製薬メーカーがファブレス化の方向に動いており、CRO事業およびCDMO事業、SMO事業の拡大が今後も見込めそうです。両社とも医療従事経験者を積極的に採用しており、メーカーに属していては経験できない多くの案件に関わることができるこの業界は、今後ますます注目されそうです。

【日本初のCRO事業会社】シミックホールディングス(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/941

日本で最初にCRO(医薬品開発支援)ビジネスを開始。国際共同臨床試験に取り組み、現在では開発支援以外にCDMO(医薬品製造支援)事業、CSO(医薬品営業支援)事業、ヘルスケア事業、IPM(新しいプラットフォーム型製薬)事業なども手がけている拡大成長中の企業である。2012年1月に持株会社制へ移行。

【転職支度金給付あり】EPSホールディングス(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/962

就職・転職するなら「EPSホールディングス株式会社」。1991年設立。ヘルスケア分野に特化したアウトソーシング企業グループの持株会社。製薬会社や医療機器メーカーなどに対し、CRO(臨床試験受託業)をコアにSMO(治験業務支援業)、CSO(医薬品販売業)などのアウトソーシングサービスを展開している。ヘルスケア専門商社として、中国・東南アジア市場にも進出している。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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