【マンションデベロッパー業界研究】野村不動産・大京・東京建物 比較――就職・転職するならどの会社?

【マンションデベロッパー業界研究】野村不動産・大京・東京建物 比較――就職・転職するならどの会社?

今回はマンションデベロッパー業界から、野村不動産ホールディングス・大京・東京建物について見ていきます。3社とも首都圏や中核都市にタワーマンションを中心に魅力のある住居を提供している。今回は3社の財務面から分析し、特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

一般的に不動産デベロッパーとは、取得した用地に最適な建物などを計画し、開発・事業化していく会社です。開発する建物の種類には「オフィスビル」「商業施設」「マンション」「一戸建て」「レジャー施設」などがあります。

不動産デベロッパー全体の売上高ランキングでは、三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングスといった会社が上位ですが、今回はそれらに次ぐ中堅で、特にマンション開発に強い会社を取り上げています。

(1) 野村不動産HD

野村證券系の不動産デベロッパー。総合不動産会社では業界5位の位置ですが、2012年に年間マンション供給戸数で業界1位になるなど、マンション開発を積極的に行っています。主要ブランドは、高級住宅街をターゲットとした「PROUD(プラウド)」シリーズ。

不動産開発以外には、不動産仲介会社「野村不動産アーバンネット」を子会社に持ち、2015年には東証JASDAQに上場していたフィットネスクラブの「メガロス」を完全子会社にしました。持株会社の社員の平均年収は1,013万円です。

(2) 大京

戦後の事業家・横山修二氏が1960年に創業したデベロッパー。三大都市圏を中心に「ライオンズマンション」シリーズを6,000棟以上開発。1998年には、建設当時日本最高の超高層マンションとなった「エルザタワー55」を埼玉県川口市に建設しました。

2004年に経営危機に陥り、産業再生機構の支援を受けて翌年オリックスの子会社入り。「サーパス」ブランドを持つ同業の穴吹工務店が会社更生法を申請したことを受けて、2013年に完全子会社化し傘下に入れました。社員の平均年収は742万円です。

(3) 東京建物

安田財閥の創始者である安田善次郎氏が1896年に設立。1907年に東証に株式を上場している、日本で最も古い歴史を持つ総合不動産会社です。2003年からは「Brillia(ブリリア)」シリーズのマンションを分譲しています。

SPC(特定目的会社)を活用した不動産再開発プロジェクトを手がけ、東京・錦糸町の「オリナス」、福岡・天神の「VIORO」のほか、東京・大手町のみずほ銀行本部ビル跡地に建設した「大手町タワー」があります。社員の平均年収は917万です

事業の収益構造

(1) 売上規模

2015〜2017年度の売上高の3期平均は、野村不動産HDが5,877億円、大京が3,118億円、東京建物が2,605億円です。

プラウドシリーズの野村不動産HDが頭ひとつ出ています。各社とも横ばいの売上高ですが、住宅分譲事業が好調な野村不動産HDは、2017年度の売上高が前期比で9.5%増えています。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均では、野村不動産HDが783億円、東京建物が385億円、大京が197億円です。売上高では大京を下回っている東京建物ですが、営業利益で約2倍の差をつけています。野村不動産HDは、住宅部門の粗利益率の低下と傘下REITの統合、仲介事業の新規出店等の費用がかさみ、3期連続減益です。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、東京建物が14.8%、野村不動産HDが13.3%、大京が5.9%でした。東京建物はブリリアブランドの分譲とビル事業が好調で、3期連続増益と利益率向上させています。

(3) セグメント別売上構成

3社とも国内売上高比率が9割以上で、海外比率のデータはありません。

野村不動産HD(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、「プラウド」や「オハナ」などの住宅事業が56.1%と半数以上を占めます。次に賃貸事業が21.1%、メガロス運営や修繕工事をになう運営管理事業が15.8%、「野村の仲介」を行う仲介・CRE事業が5.6%、REIT等の運営を行う「資産運用事業」が1.5%、その他事業が0.0%です。

セグメント利益では、賃貸事業が43.4%と住宅事業を上回り、住宅事業の30.2%と合わせると利益の7割強を占めます。仲介・CRE事業が10.4%、運営管理事業が8.7%、資産運用事業が7.3%、その他事業が0.0%です。

【PROUD】野村不動産ホールディングス(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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就職・転職するなら「野村不動産ホールディングス株式会社」。総合不動産会社として業界5位の野村不動産などを傘下に持つ野村不動産グループの純粋持株会社。首都圏を中心としたマンションブランド「PROUD」や郊外型マンション「OHANA」の開発・分譲、新宿野村ビルなどのオフィスビルや川崎ラゾーナ等の商業施設の賃貸が主力。スポーツクラブのメガロス、投資家向け不動産開発なども手がける。

大京(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、ライオンズマンションの管理を行う「不動産管理事業」が49.9%、マンション開発・販売を行う「不動産開発事業」が31.6%、不動産仲介を行う「不動産流通事業」が18.6%です。

セグメント利益では不動産管理事業が46.8%、不動産開発事業が37.8%、不動産流通事業が15.4%です。全国6,000棟以上を有するライオンズマンションの運営管理が同社の経営を支えます。

【オリックス傘下】(株)大京に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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マンションの中堅不動産デベロッパー。「ライオンズマンション」シリーズをはじめ東京、名古屋、大阪の三大都市を中心に全国各地で約45万戸を供給し、累計供給戸数は業界トップ。営業収入の半数を不動産管理事業が占める。オリックスの子会社として、プロ野球のオリックス・バファローズのスポンサーでもある。

東京建物(2017年12月期)のセグメント別売上高構成比は、オフィスビルの開発・販売・賃貸等を行う「ビル事業」が38.8%、ブリリアブランドでマンション開発を行う「住宅事業」が37.8%です。不動産再開発等の営業を行う「アセットサービス事業」が15.0%、その他事業が8.4%です。

セグメント利益では、ビル事業の利益率が高く61.6%、住宅事業は32.2%、アセットサービス事業が7.3%、その他事業が-1.1%です。東京駅周辺の大規模オフィスビルの事業が好調で、業績に大きく寄与しています。

【Brillia】東京建物(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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就職・転職するなら「東京建物株式会社」。マンションデベロッパー。安田財閥の創始者が明治29年に創立した老舗不動産会社である。2003年から「Brillia(ブリリア)」シリーズのマンションを分譲。SPCを活用した再開発を得意としており「オリナス」「VIORO」「大手町タワー」などのプロジェクトを手掛けた。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

野村不動産HDと東京建物は「成長企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュ以上に資金調達を伴いながら投資を行っているタイプです。

投資キャッシュフローがプラスで、財務キャッシュフローがマイナスの大京は、借入金の返済を重視した「ダウンサイジング企業型(営業+/投資+/財務-)」タイプです。

(2) 収益性

企業が本業でキャッシュをどれくらい生み出したかを測った「営業キャッシュフロー」の2015〜2017年度までの3期平均は、東京建物が155億円、大京が64億円、野村不動産HDが10億円です。

マンションデベロッパー業界は、不動産開発から販売までに一定期間が必要になるため、営業キャッシュフローが一時的にマイナスに転じることがあるのが特徴です。

大京の2015年度の営業キャッシュフローのマイナスは、仕入債務の減少によるもの。野村不動産HDの2016年度、東京建物の2017年度のマイナスは、販売用不動産の棚卸資産の増加によるものです。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、東京建物が5.9%、大京が1.9%、野村不動産HDが0.2%です。野村不動産HDが上昇に転じていますが、東京建物は2017年度の営業キャッシュフローマイナスによって急低下しています。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、大京が4.9倍、東京建物が46.8倍、野村不動産HDが840.5倍です。野村不動産HDの2015年度の営業キャッシュフローマイナスの影響で大きな数字になりましたが、直近期では改善しているため安全性に不安はありません。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、野村不動産HDがマイナス553億円、東京建物がマイナス155億円と投資先行ですが、大京がプラス74億円です。

大京は2015年度に有価証券の償還や定期預金の繰戻があった関係上、投資キャッシュフローがプラスになっていますが、引き続き土地取得等の開発意欲は高いです。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、自社株買い等の株主還元を行っている大京がマイナス159億円、東京建物がプラス156億円、野村不動産HDがプラス580億円です。

毎期数百億円単位で無担保社債を発行していた野村不動産HDですが、2017年度に機関投資家向けにハイブリット社債発行を行い、500億円の資金調達を行いました。大株主である野村HDを活用した多様な資金調達方法を活用しています。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、大京がプラス138億円で、東京建物がマイナス308億円、野村不動産HDがマイナス543億円です。

東京建物と野村不動産HDは資金調達を伴った大規模プロジェクトの投資を行っているため、フリーキャッシュフローがマイナスとなっています。大京は3期連続でフリーキャッシュフローがプラスと投資への慎重さが伺えます。

(5) 効率性

マンションデベロッパー企業の効率性を比較するため、販売用の不動産の在庫を示す棚卸資産と、棚卸資産をどの程度効率的に減少させているかを示す「棚卸資産回転率」の2つを見てみます。棚卸資産のうち販売用不動産のみ抜粋して計算します。

販売不動産の棚卸資産の3期平均は、野村不動産HDが5,529億円、東京建物が1,743億円、大京が1,115億円です。

売上原価を棚卸資産で割って計算する棚卸資産回転率の3期平均は、大京が2.53回、東京建物が1.10回、野村不動産HDが0.74回です。数値が大きいほど効率的に棚卸資産を減らしているため、大京が3社中最も効率よく販売用不動産を提供できていると言えます。

棚卸資産回転率を回転日数で表した棚卸資産回転期間では、大京が144日、東京建物が331日、野村不動産HDが494日です。野村不動産HDが在庫処理の効率が一番悪いです。

まとめ

以上、3社の財務諸表を分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • 高級マンションブランド「プラウドシリーズ」を有している野村不動産HDは、年間6,000戸以上の分譲マンションを供給する実績もあり、増収傾向です。その一方で在庫回転の効率の悪さから、利益面での課題が残っています。有利子負債残高も多いため、健全なキャッシュフロー構築に努力していくことが望まれます。

  • 「ライオンズマンション」の知名度の高い大京は、オリックス傘下で堅実な経営が行われています。利益率の低さは気になる一方、安全性と効率性の高さは業界でも高い位置につけています。自社マンションの管理業務によるストックと、新規開発によるフロー収益の拡大に期待したいです。

  • 3期連続増益となっている東京建物は、大手町タワーをはじめとする東京駅周辺の再開発案件によるビル事業収益向上と、高級マンションブランド「ブリリア」の分譲販売が好調です。安定したキャッシュフローと資金調達を伴い、地方都市での再開発事業により力を入れていくことが見込まれます。

3社とも人気マンションブランドを擁しているものの、マンションデベロッパー業界としては人口減少と不動産価格高騰後の市況悪化懸念があります。マンション開発と修繕、リノベーションに比重をおく大京と、高級マンションとリーズナブルラインの二本で運営していく野村不動産HD、大規模再開発とマンションの複合開発を行っている東京建物と3社とも戦略が異なります。

マンション開発には数年の期間が必要ですが、3社とも独自色を出した経営をしているといえます。都市開発に興味がある方にとっては魅力的な事業内容と言えます。大きなプロジェクトを手がけていきたいという方は、マンションデベロッパー業界への転職も選択肢の一つです。

 

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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