【アニメ製作・版権業界研究】東映アニメーション・創通・IGポート・ブロッコリー比較――就職・転職するならどの会社?

【アニメ製作・版権業界研究】東映アニメーション・創通・IGポート・ブロッコリー比較――就職・転職するならどの会社?

今回は日本が世界に誇る「アニメ」を製作し、版権を管理する東映アニメーション・創通・IGポート・ブロッコリーについて見ていきます。アニメ業界で働きたい人向けに、4社の財務面を分析し、特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

(1) 東映アニメーション

国内の映画製作・配給を行う東映(東証一部)の子会社で、国内大手のアニメ製作会社です。東証JASDAQ上場。1948年に日本動画(後の日動映画)として設立し、1956年に東映に買収されました。

テレビ向けアニメが主でしたが、近年はスマホアプリ向けのビジネスや海外向けへの配信事業で成長しています。代表的なアニメタイトルは「ドラゴンボール」「セーラームーン」「スラムダンク」。社員の平均年収は746万円です。

東映アニメーション株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/2970

就職・転職するなら「東映アニメーション株式会社」。創立60周年の日本最大のアニメーション製作会社。親子で楽しめる長寿番組も多く、アニメは世界100か国以上で放映されている。国内と同じビジネスを展開しているという海外事業は好調。ライセンスビジネスも拡大している。また、人材育成においては、製作実習を中心とした教育プログラムを取り入れるなど力を入れている。

(2) 創通

読売巨人軍の指定広告代理店であった「巨報堂」の出身者が1965年に創業。社名を1977年に創通エージェンシーへ、2007年に現在の社名へ変更しました。東証JASDAQ上場。

アニメ関連広告代理収入、ガンダム著作権窓口管理収入、ジャイアンツ関連広告収入が3本柱。代表的なアニメタイトルには「機動戦士ガンダム」シリーズや「それいけ!アンパンマン」があります。社員の平均年収は505万円です。

株式会社創通に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/3146

就職・転職するなら「株式会社創通」。1965年、読売巨人軍の専属代理店として行った球団グッズの企画・販売、版権ビジネスが前身。現在、機動戦士ガンダムを筆頭に、数々のアニメの企画・制作に携わり、登場キャラクターのプロデューサーとしての版権事業を中心に事業を行う。新人プロデューサーの育成、新規作品開発に注力し、積極的な海外発信により事業展開を図る。

(3) IGポート

1990年にイングとして設立し、2000年プロダクション・アイジーと合併。2007年に傘下にアニメ制作会社を置く純粋持株会社体制となりました。東証JASDAQ上場企業。

アニメ制作子会社に、プロダクション・アイジー、ジーベック、ウィットスタジオ、シグナル・エムディ。代表的なアニメタイトルは「BLOOD+」「進撃の巨人」「ハイキュー!!」です。社員の平均年収は408万円です。

株式会社IGポートに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/4135

就職・転職するなら「株式会社IGポート」。映画・TV・DVD・ゲーム用アニメーションの制作及びこれらの版権管理、コミック事業などを手掛ける。映像制作では、企画から編集までを一貫して行っている。1987年設立。2000年に(株)プロダクション・アイジーを吸収合併、2007年には現在の(株)IGポートへと社名変更し、完全持株会社となる。連結子会社10社を持つ。

(4) ブロッコリー

1994年に会社設立。直営小売店「ゲーマーズ」や情報誌「フロムゲーマーズ」を展開し、タカラやガンホー・オンライン・エンターテイメント、アニメイトなどの出資を受けました。

2013年にJASDAQ上場。2015年にハピネットが筆頭株主となっています。現在は採算が取れるキャラクター事業を中心としています。社員の平均年収は576万円です。

株式会社ブロッコリーに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/3043

就職・転職するなら「株式会社ブロッコリー」。ゲームやアニメ、音楽、映像、カードゲームのコンテンツビジネスと、そこから派生したキャラクター商品の企画・製造・販売をしている企業。2010年にTVゲームの「うたの☆プリンスさまっ♪」、2012年にはトレーディンクカードゲーム「X/Z」を創出。最近ではスマートフォン向けゲームアプリやフィギュア市場にも事業を拡大している。

事業の収益構造

(1) 売上規模

2014〜2016年度の売上高の3期平均は、東映アニメーションが349億円、創通が222億円、IGポートが81億円、ブロッコリーが61億円です。東映アニメーションの売上高が大きく、かつ近年急成長しており、2位以下との差を広げています。

創通とIGポートは決算期の関係で2017年度の数字は予想値です。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均では、東映アニメーションが73億円、創通が33億円、ブロッコリーが11億円、IGポートが4億円です。ここでも、東映アニメーションの伸びが目立ちます。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、東映アニメーションが20.8%、ブロッコリーが17.3%、創通が14.9%、IGポートが4.9%です。

東映アニメーションは「ドラゴンボール」をはじめとするキャラクターのスマホゲーム化が好調で、売上・利益とも伸ばしています。主力のトレカが苦戦のブロッコリーは、2014年度では4社中トップの利益率を誇っていましたが、利益率が右肩下がりになっています。

(3) セグメント別売上構成

東映アニメーション(2018年3月期)のセグメント別売上高構成比は、版権事業が52.2%、映像製作・販売事業が35.1%、商品販売事業が10.3%、その他事業で2.3%です。

セグメント利益では、版権事業が82.1%を占め、利益率も高いようです。映像製作・販売事業が17.4%、商品販売事業が0.9%、その他事業はマイナス0.4%です。

地域別売上高では、2017年3月期決算によると日本が60.9%、アジアが22.6%、その他地域が16.5%で、海外比率が4割。大口取引先は、バンダイグループが33.6%、東映グループが9.3%、中国のストリーミングサービスで百度(バイドゥ)傘下のiQiyi(愛奇芸。アイチーイー)が8.4%でした。

創通(2017年8月期)のセグメント別売上高構成比は、映像製作やキャラクターグッズの販売を行うメディア事業が70.7%、商品化権等の版権事業であるライツ事業が26.6%、読売巨人軍等のスポーツ部門であるスポーツ事業が2.6%です。

セグメント利益は、ライツ事業が71.4%、メディア事業が27.3%、スポーツ事業は1.3%と順位が大きく逆転しました。ライツ事業の利益率が高いです。地域別売上高は日本が9割以上。売上高の17.5%をバンダイナムコエンターテイメント社が占めます。

「ガンダム」が好きな方ならお馴染みの「©創通・サンライズ」の表記。アニメーションを制作する会社のサンライズは分かるとして、創通(2007年3月までの旧社名は「創通エージェンシー」)って何の会社だろうか。広告代理店? 電通みたいな?

作品を作るサンライズ、“ガンプラ”のバンダイ、それらに並ぶ第三の極、ガンダム関連の著作権(ライツ)窓口をサンライズと共に受け持つ同社の「ビジネスとしてのガンダム」について、入社以来ライツ部門を担当してきた、[株式会社創通の]田村烈取締役にお話をうかがった。

Project ANIMA:DeNA、創通、文化放送がアニメ新プロジェクトを始動 原作を公募 - 毎日新聞

https://mainichi.jp/articles/20171220/dyo/00m/200/012000c

 DeNA、創通、文化放送の3社が、合同でオリジナルアニメを制作する新規プロジェクト「Project ANIMA(アニマ)」を始動したことが20日、分かった。DeNAが運営するマンガサイト「マンガボックス」や小説サイト「エブリスタ」などで、プロ、アマを問わず原作を募集し、2020年に3作品のテレビア

IGポート(2017年5月期)のセグメント別売上高構成比は、映像製作事業が59.2%、コミック本の製作等を行う出版事業が20.6%、著作権等を扱う版権事業が15.5%、その他事業が4.7%です。

セグメント利益では、版権事業が68.9%、出版事業は41.3%、その他事業が5.7%、映像製作事業が−15.9%。主力の映像製作の赤字を版権事業がカバーしている形です。地域別売上高は日本が9割以上。売上高の16.6%をポケモン等のTVアニメを手がけるオー・エル・エム社が占めています。

ブロッコリー(2018年2月期)のセグメント別売上高構成比は、エンターテインメント事業単一のため記載はありません。また地域別売上高は国内が9割以上を占めます。

売上高に対する主要取引先の売上構成比は、ホビーショップを運営するスターコーポレーションが11.6%、バンダイナムコライブクリエイティブが10.1%です。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

東映アニメーション、創通、IGポートは「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

ブロッコリーは「成長企業型(営業+/投資-/財務+)」で、本業で生み出したキャッシュ以上に資金調達を伴いながら投資を行っているタイプです。

(2) 収益性

企業が本業でキャッシュをどれくらい生み出したかを測る「営業キャッシュフロー」の2014〜2016年度の3期平均は、東映アニメーションが63億円、創通が17億円、IGポートが11億円、ブロッコリーが8億円です。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、東映アニメーションが18.2%、IGポートが13.1%、ブロッコリーが12.7%、創通が7.8%です。東映アニメーションは、キャッシュを稼ぐ力も強いです。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、東映アニメーション、創通、ブロッコリーが「無借金経営」の0.0倍、IGポートが0.4倍です。いずれも労働集約型ビジネスであり、安全性は非常に高いです。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、東映アニメーションがマイナス21億円、ブロッコリーがマイナス17億円、IGポートがマイナス5億円、創通がマイナス0.1億円です。東映アニメーションは、老朽化した大泉スタジオの再開発等に費用を投じています。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、創通がマイナス12億円、東映アニメーションがマイナス10億円、IGポートがマイナス0.4億円。ブロッコリーはプラス11億円となりました。

各社とも配当を出しており資金返済傾向ですが、ブロッコリーは2015年度に株式発行を行ったことが影響し、単年で38億円の財務キャッシュフローのプラスを計上しています。

会社が自由に使えるキャッシュを表す「フリーキャッシュフロー」(営業活動キャッシュフロー+投資キャッシュフロー)の3期平均は、東映アニメーションがプラス43億円、創通がプラス17億円、IGポートがプラス5億円である一方、ブロッコリーがマイナス9億円です。

東映アニメーションは盤石なキャッシュフローがあり、経営の柔軟性が取りやすい状態です。ブロッコリーは2014~2015年度に主力のトレカ事業が不振で、店舗事業を一部売却するなど苦境があったものの、直近では取り戻しています。

(5) 効率性

各社の従業員数は、東映アニメーションが連結645人/単体402人。創通が連結92人/単体34人。IGポートが連結297人/単体3人。ブロッコリーは単体のみで95人です。

売上高を連結従業員数で割った「従業員1人あたり売上高」の3期平均は、創通が2.4億円、ブロッコリーが0.7億円、東映アニメーションが0.6億円、IGポートが0.3億円です。「ガンダム」シリーズの権利関係を持つ創通が、東映アニメーションなどを押さえ頭ひとつ抜けています。

東映アニメーションは、映像製作・販売事業の人員を3期連続で増やしつつ、従業員1人あたり売上高も増加させています。

連結で約300人の従業員を抱えるIGポートは、映像製作事業と版権製作事業の人員を増やす一方、出版事業の人員を減らしています。3期連続の増収ですが、1人当たりの売上高は低く、右肩下がりになっています。

少数精鋭で1人当たり売上高で健闘していたブロッコリーは、従業員数を3期連続で増加させていますが、売上高への寄与は低いようです。

まとめ

以上、4社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • 大手企業の子会社として、安定顧客と有力なコンテンツを有している東映アニメーションは業界内でもピカピカの成長株です。強化している海外への進出が今後の成長の鍵です。
  • 1人あたり売上高が高い創通ですが、ここ数年横ばいを続けています。ガンダムを軸としたライツ事業で巻き返しを図っており、潤沢なフリーCFを活用した投資が求められます。
  • ネットフリックスと提携し、自社のアニメ作品の世界展開を図ろうとしているIGポートは、主力の映像製作事業の収益性の改善が求められます。
  • サブカル系でコアファンを取り込んでいるブロッコリーは、数年前に既存のショップ事業の売却等を経て高収益ビジネスに舵を取っています。単一セグメント企業としてどれだけ注力できるかが重要です。

日本が世界に誇る「アニメ」は、世界190カ国以上に広まっており、クールジャパン業界として政府から期待されています。一方で近年は人気タイトルを生み出しているというよりも、過去のドラゴンボールやガンダムといった有名タイトルの版権ビジネスが主軸となっています。

今後アニメ製作業界に求められる人材は、世界中の方が虜になるコンテンツやキャラクターを世に生み出していける人材、有力コンテンツの有効活用アイディアが生み出せる人材となります。自身に強みがあると感じている方はアニメ製作業界への転職は、ベストマッチとなるでしょう。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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