【消費財業界研究】花王、資生堂、ユニ・チャーム、ライオン比較――就職・転職するならどの会社?

【消費財業界研究】花王、資生堂、ユニ・チャーム、ライオン比較――就職・転職するならどの会社?

今回は消費財業界を代表する4社である花王と資生堂、ユニ・チャーム、ライオンについて見ていきます。国内における知名度が高い4社ですが、近年は海外でのブランド化に務めています。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

(1)花王

1887年に石鹸の輸入業を始め、1940年に現在の会社形態に移した国内トップの化学メーカーです。環境に優しい商品を世に送り出すため生産から一貫生産を行っており、高いマーケティング力を駆使し、人気商品を多数世に送り出しています。

アタックやビオレといったブランドを持ち、特に洗濯用洗剤は国内で圧倒的なシェアを有します。後に経営破綻したカネボウの化粧品部門を買収し、2018年3月現在の化粧品事業は国内2位です。平均年収は798万円です。

【中国で紙おむつ好調】花王(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/21

就職・転職するなら「花王株式会社」。中国のおむつ事業が好調。大手化学メーカー。国内では洗剤・トイレタリーで1位、化粧品で2位。化粧品・トイレタリー企業の世界シェア7位。カネボウ化粧品は100%子会社。かつてはフロッピーディスクやDATテープ、ブランクMDなどの記録メディア事業や医薬品事業にも進出したが、現在は撤退している。

(2)資生堂

国内トップ、世界シェア5位の化粧品会社です。1872年に銀座で洋風調剤薬局として創業し、1897年から化粧品に参入。百貨店等で扱うSHISEIDOやクレ・ド・ポー ボーテといったブランドから、ドラッグストア向けのUnoやアネッサ、TSUBAKIやエリクシールまで幅広くカバーしています。

2014年に外部から初登用された元日本コカ・コーラ社長の魚谷雅彦氏によるリーダーシップで、伊・D&Gブランドの権利を獲得するなど海外展開を図っています。平均年収は717万円です。

【女性管理職4割へ】(株)資生堂に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/51

就職・転職するなら「株式会社資生堂」。花王のビューティケア事業と並び、国内シェア首位級の化粧品メーカー。約120の国と地域でグローバルに事業を展開し、海外売上比率が52%にのぼる。日本コカ・コーラ会長などを務めた魚谷雅彦氏を2014年に社長登用。2020年度に女性管理職4割、売上高1兆円超を目指している。

(3)ユニ・チャーム

1961年に創業し、以後生理用品、紙おむつ等の衛生用品において国内トップシェアを有する会社に成長しました。ムーニーやソフィ、オヤスミマンなど日本のみならずアジア地域でシェアを拡大し、紙おむつ分野でアジア1位の地位を有しています。

社名の由来は「世界で通用するユニークな商品やサービスの提供」、「女性が魅力的(チャーミング)であってほしい」という願いからの造語です。平均年収は866万円です。

【平均年収866万円】ユニ・チャーム(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/137

就職・転職するなら「ユニ・チャーム株式会社」。本社を東京都港区に置く、衛生用品の大手メーカー。海外展開にも注力しており、特にアジアでベビーケア、フェミニンケア、ヘルスケアはシェアNo.1、紙おむつや生理用品で必要な不織布・吸収体の世界シェアはNo.3となっている(ともに2015年9月時点)。衛生用品の他にもペットフードなども扱っている。

(4)ライオン

1891年に創業したトイレタリー用品、医薬品メーカーです。業界トップの花王の二番手を演じていますが、創業以来の強みである歯磨き粉および歯ブラシでは国内トップシェアを有しています。

有名ブランドではクリニカ、トップ等が挙げられます。医薬品ではバファリンの製造販売を行っています。平均年収は718万円です。

【平均年収718万円】ライオン(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/212/

就職・転職するなら「ライオン株式会社」。日常生活に欠かせない洗剤、石鹸、歯磨きなどの衛生管理に必要な製品をはじめ、医薬品や化学品を開発・製作しているメーカー。トップシェアの歯磨きは、創業品目としても知られており、台所用洗剤「ママレモン」などの台所用洗剤など、消費者の生活に密着した製品を生み出している。CMや商品の紹介のキャッチコピーは「今日を愛する。」

事業の収益構造

(1) 売上規模

4社とも12月決算なので、2017年12月期決算を含む3期間の業績を見ていきます。売上高の3期平均は、花王が1兆4729億円、資生堂が8728億円、ユニ・チャームが6971億円、ライオンが3949億円です。

花王が頭ひとつ抜け出していますが、2016年度、2017年度は横ばいです。資生堂とライオンは3期連続増収。ユニ・チャームは3期連続減収ですが、2017年度よりIFRS適用していることもあり、実質的には前年比6.1%増となっています。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均では、花王が1849億円で利益でも4社中トップです。またユニ・チャームが731億円と売上高2位の資生堂の340億円を上回りました。ライオンは177億円です。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、花王が最も高く12.6%、ユニ・チャームが10.5%、ライオンが4.5%、資生堂が3.9%でした。花王とユニ・チャームは期待水準の10%を超えています。

なお、資生堂は2017年度の利益率を前年の4.3%から8.0%と改善させており、マーケティング効率とコスト構造の改革効果が現れてきています。ユニ・チャームはIFRS移行のため正しい情報が取れていませんが、4社とも利益率を高めるべく戦略をとっています。

(3)セグメント別売上構成

花王(2017年12月期)のセグメント別売上高構成比は、消費者向けのコンシューマープロダクツ事業が全体の79.7%を占めています。

内訳(全体比率)は、化粧品やスキンケア商品等の「ビューティーケア事業」の38.4%、アタックやキュキュット等の「ファブリック&ホームケア事業」が20.0%、ヘルシア緑茶や衛生用品等の「ヒューマンヘルスケア事業」が19.3%です。このほか、自動車や半導体生産向けの油脂製品などのケミカル事業が20.3%を占めています。

セグメント利益は、ファブリック&ホームケア事業が37.5%、ビューティーケア事業が28.4%、ヒューマンヘルスケア事業が19.1%、ケミカル事業が15.0%です。

地域別売上収益は、日本が65.7%、アジアが17.1%(内中国が9.0%)、米州が8.7%(内アメリカ6.9%)、欧州が8.5%です。

資生堂(同上)のセグメント別売上高構成比は、地域別で分けられています。日本におけるブランドカテゴリーを統括する「日本事業」が40.3%、「米州事業」が13.9%、「中国事業」が12.6%、「欧州事業」が12.0%、日本と中国を除いた「アジアパシフィック事業」が4.9%です。

このほか、美容室向け製品の製造販売を行う「プロフェッショナル事業」が4.2%、日本以外の免税店用商品が該当する「トラベルリテール事業」が3.9%、その他が8.1%となっています。

セグメント利益は、日本事業が93.3%と大多数を占めています。次に中国事業が12.7%、トラベルリテール事業が13.9%、アジアパシフィック事業が6.4%、プロフェッショナル事業が3.3%となっています。近年は免税店での売上が好調で、利益面でも大きく貢献しています。

一方、米州事業は−11.5%、欧州事業が−3.6%、その他が−14.5%とマイナス。理由は、米州欧州ともにM&A等でのコストが先行しているためです。

ユニ・チャーム(同上)のセグメント別売上高構成比は、紙おむつや生理用品等を含めた「パーソナルケア事業」が86.6%、ペット用品等を運営している「ペットケア事業」が12.4%、その他1.0%です。セグメント利益は、パーソナルケア事業が88.9%、ペットケア事業が11.2%です。

地域別売上収益は、日本が41.5%、アジアが30.0%、中国が12.9%、その他が15.6%。地域別利益では日本が66.7%、アジアが18.5%、中国が9.1%、その他が5.7%で、海外アジアで利益をあげられる構造になっています。

ライオン(同上)のセグメント別売上高構成比は、歯磨き粉を含めた日用品を統括している「一般用消費財事業」が58.5%、海外事業が24.1%、油脂活性剤産等業務用製品を提供している「産業用品事業」が11.2%となっています。

一般用消費財事業のセグメント内訳は、洗濯用洗剤や柔軟剤の「ファブリックケア分野」が27.3%、歯磨き粉や歯ブラシの「オーラルケア分野」が23.5%、バファリン等の「薬品分野」13.4%、ハンドソープやボディソープ等の「ビューティケア分野」が8.4%、台所・浴室周りの洗剤等の「リビングケア分野」が7.1%、「その他分野」が20.2%となっています。

地域別売上収益は、日本が73.0%、アジアが26.4%、その他地域が0.6%です。アジアの内タイが占める割合が13.0%となっており、日本に次ぐ重要地域となっています。セグメント利益は一般消費財事業が70.1%、海外事業が16.3%、産業用品事業が8.6%、その他事業が4.9%となっています。

特定の販売先として、卸商社の「PALTAC」が全体の22.1%、「あらた」が12.8%を占めています。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

4社とも「優良企業型(営業+/投資-/財務-)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。ただし4社とも数字が異なっており、それぞれタイプが異なります。そこで以下で詳しく見ていきます。

(2) 収益性

まず収益性を見てみます。営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、ユニ・チャームが13.7%、花王が12.5%、資生堂が8.2%、ライオンが8.1%でした。

売上高営業利益率では花王がトップでしたが、現金を稼ぐ収益性はユニ・チャームが上回りました。営業キャッシュフローは花王が3期連続増加し、ライオンは3期連続減少しています。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、ライオンが0.3倍、花王とユニ・チャームが共に0.7倍、資生堂が1.6倍でした。4社とも安全性に問題ありません。ライオンは3期連続で有利子負債残高を減らし、4社中最も安全性が高くなりました。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、花王がマイナス862億円、ユニ・チャームがマイナス498億円、資生堂がマイナス316億円、ライオンがマイナス78億円となりました。

花王は海外M&Aに積極的で、2017年に米高級ヘアケアブランドの「Oribe Hair Care」を買収するなど3期連続投資額を増やしています。資生堂は子会社の米ゾートス社を売却するなど事業再編を行っています。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、花王がマイナス562億円、ユニ・チャームがマイナス296億円、資生堂がマイナス202億円、ライオンがマイナス64億円と4社とも資金返済傾向です。

花王は28期連続増配で、積極的な株主還元で資金返済傾向を見せています。ユニ・チャームも株主還元策として自社株買いを行っています。

資生堂は2016年度にローラメルシエやドルチェ&ガッバーナの香水部門を買収する際に社債や借り入れを行った関係で、2016年度は財務キャッシュフローがプラスになっていましたが、2017年度は借り入れ返済を行い再度マイナスに転じています。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、資生堂が56.3%、ユニ・チャームが44.9%、花王が43.8%、ライオンが33.0%です。

4社とも営業キャッシュフロー以上の過剰投資は行っておらず、堅実な設備投資を行っています。特に資生堂は設備投資に資金投入しています。

まとめ

以上、4社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • 業界トップで3期連続増収増益中の花王は、環境に配慮した経営姿勢と一貫生産の強みを持って世界に打って出ようとしています。海外比率が約4割まで迫ってきましたが、海外M&Aを通じてどこまで成長できるか期待したいところです。

  • 外資系出身の魚谷社長をリーダーに世界的に「SHISEIDO」ブランドを浸透させようとしている資生堂は、海外売上比率6割まで伸ばしている一方で、利益の9割以上を国内で賄っている状況を打開すべく構造改革を行っています。

  • 紙おむつや生理用品で高いシェアを有しているユニ・チャームは、1990年後半より進出したアジア戦略が功を奏し、アジア圏でトップシェアを有しています。高い収益性と安全性を武器に未開の地であるアフリカや南米への進出が予想されます。

  • 4社中最も小ぶりなライオンは、高い安全性を有しています。タイをはじめとする海外アジアでの売上が26.4%を占めており、今後の成長が注目されます。

国内では知名度の高い4社ですが、グローバル企業としての歩みを進めております。人口減少が叫ばれている日本ですが、世界を見れば人口は増加傾向にあり、高い商品力のある日本メーカーはより世界に進出していけます。消費財業界に入社することで、よりグローバルな働き方ができるでしょう。

この企業情報の記事作成

アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

関連する投稿


【即席麺メーカー】日清食品HD、東洋水産 比較――就職・転職するならどの会社

【即席麺メーカー】日清食品HD、東洋水産 比較――就職・転職するならどの会社

今回は即席麺メーカーから日清食品HDと東洋水産の2社について比較します。朝ドラのテーマとして再注目されている日本が誇る即席麺業界について、今回は上場しているトップ2社の財務面から特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。

業界研究


【モバイルアプリ業界】サイバーエージェント、ミクシィ、LINE 比較――就職・転職するならどの会社

【モバイルアプリ業界】サイバーエージェント、ミクシィ、LINE 比較――就職・転職するならどの会社

今回はモバイルアプリ業界からサイバーエージェント、ミクシィ、LINEの3社について比較します。スマホが広い世代に普及した現在、アプリを提供する企業間競争は熾烈を極めます。今回は各社の財務面から特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。

業界研究


【航空業界】全日空(ANA)VS 日航(JAL)比較――就職・転職するならどの会社?

【航空業界】全日空(ANA)VS 日航(JAL)比較――就職・転職するならどの会社?

今回は国内二大航空会社、全日本空輸を中心とするANAホールディングスと、日本航空(JAL)について比較します。知名度が高く人気の高い両社ですが、今回は財務面を中心に分析していきます。就職・転職活動の参考になれば幸いです。

業界研究


【複合機メーカー】キヤノン、富士フイルム、リコー 比較――就職・転職するならどの会社?

【複合機メーカー】キヤノン、富士フイルム、リコー 比較――就職・転職するならどの会社?

今回は複合機メーカー業界から、キヤノン、富士フイルム、リコーの3社について比較します。いずれもオフィス用のコピー機や民生品のカメラなどを製造・販売するメーカーでしたが、デジタル化の影響を受けて新規事業への転換を迫られています。就職・転職活動の参考になれば幸いです。

業界研究


【総合電機業界】日立製作所、ソニー、パナソニック 比較――就職・転職するならどの会社?

【総合電機業界】日立製作所、ソニー、パナソニック 比較――就職・転職するならどの会社?

今回は総合電機メーカーから日立製作所、ソニー、パナソニックの3社について比較します。社名は知られているが、多岐に渡る事業内容は意外と知られていない総合電機メーカーについて、財務面から特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。

業界研究


最新の投稿


「国内コンビニ事業」前年同期比減 セブン&アイ・ホールディングスに死角はないか?

「国内コンビニ事業」前年同期比減 セブン&アイ・ホールディングスに死角はないか?

コンビニエンスストア「セブン-イレブン」のフランチャイズオーナーと本部が、24時間営業の継続などをめぐって対立するニュースが流れています。この背景には、セブン&アイグループの問題は関係していないでしょうか。第3四半期決算報告会の説明資料から読み解きます。

投資家向け


いろんな人を採れば、組織は本当に「創造的」になるのか?

いろんな人を採れば、組織は本当に「創造的」になるのか?

人材研究所代表・曽和利光氏の連載「採用担当者があなたの会社を魅力的にする」。今回は、人事採用担当者の課題とされている「ダイバシティ」について考えます。組織における人材の多様性向上は疑うべくもない常識とされつつありますが、それは本当に正しいのでしょうか。

採用担当者があなたの会社を魅力的にする


【即席麺メーカー】日清食品HD、東洋水産 比較――就職・転職するならどの会社

【即席麺メーカー】日清食品HD、東洋水産 比較――就職・転職するならどの会社

今回は即席麺メーカーから日清食品HDと東洋水産の2社について比較します。朝ドラのテーマとして再注目されている日本が誇る即席麺業界について、今回は上場しているトップ2社の財務面から特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。

業界研究


「ZOZO離れ」は深刻な問題なのか? 決算説明会資料から占う将来性

「ZOZO離れ」は深刻な問題なのか? 決算説明会資料から占う将来性

若者に人気のアパレルECサイト「ZOZOTOWN」に対する批判的な報道が、ここのところ相次いでいます。「ZOZO離れ」という言葉も見られますが、運営する株式会社ZOZOの行く先には本当に暗雲が垂れ込めているのでしょうか。同社の決算説明会の資料を参考に、情報を整理してみました。

ZOZO 投資家向け


ぐるなびの業績悪化は、楽天との資本業務提携で改善できるのか?

ぐるなびの業績悪化は、楽天との資本業務提携で改善できるのか?

「加盟店の解約増加で大失速」とネットで話題になっている株式会社ぐるなび。創業者の滝久雄会長は2018年7月、保有株式の一部を楽天に売って資本業務提携を締結しました。すでに会員の新規獲得数やネット予約件数で効果が現れているようですが、今後の見通しはどうなのでしょうか。

投資家向け


wiget_w640
wiget_w300 wiget_w300
wiget_w300