【100円ショップ業界研究】セリア・キャンドゥ・ワッツ・音通 比較――就職・転職するならどの会社?

【100円ショップ業界研究】セリア・キャンドゥ・ワッツ・音通 比較――就職・転職するならどの会社?

今回は100円/百円ショップ業界から、上場しているセリア・キャンドゥ・ワッツ・音通(おんつう)について見ていきます。日常生活に欠かせない存在となった百円ショップですが、各企業によって特色が異なります。今回は4社の財務面から分析し、特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

百円ショップ国内トップシェアの「ダイソー」を運営する大創産業は非上場のため、今回は上場企業である4社での比較となります。

(1) セリア

1985年に岐阜県大垣市で創業した、業界2位の百円ショップ企業です。全品100円商品を徹底しており、全国に約1500店舗を有しています。女性に人気の品揃えで、高効率の発注システムを構築するなど高収益体質です。

創業者・河合映治氏の息子の宏光氏が社長を務め、河合家が3割以上の株式を保有するオーナー会社です。東証JASDAQ上場企業。社員の平均年収は615万円です。

【女性に人気の100円ショップ】株式会社セリアに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/3080

就職・転職するなら「株式会社セリア」。現在全国に1,424店舗を展開している「100円ショップ」。日本証券アナリスト協会による「ディスクロージャー優良企業」に2016年までに3年連続選定されている。2004年流通業界に先駆けて直営全店にPOSシステムを導入している。また、2017年には神奈川県相模原市に新たな物流センターを新設し、物流網を拡大。

(2) キャンドゥ

1993年に埼玉で創業し、100円ショップの「Can★Do」を中心に業界3番手の位置にいます。直営店が683店舗、FC店が311店舗、計994店舗を展開しています。ネットショップでロット単位の購入が可能な体制を取るなど、独自色を有しています。

創業者の城戸博司氏が2011年に急逝し、当時25歳だった息子の一弥氏が社長に就任。同社も城戸家のオーナー企業です。東証一部上場企業。社員の平均年収は402万円です。

【100Yen SHOP】株式会社キャンドゥに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/1595/

キャンドゥは東京都新宿区に本社をおき、日用雑貨や加工食品などを直営店舗にて販売している100円ショップのチェーン企業である。規模としては、業界第3位で、年商652億円を売り上げている。2013年12月には設立20周年を迎え、「店舗」「商品」「仕組」の業務全般にわたる改革を進めている。

(3) ワッツ

1995年に大阪で創業した後発組で、居抜き物件やスーパーの催事場など低コスト出店を勧めています。保有ブランドは「ワッツ」「meets.」「シルク」等。直営店が1093店、FCが41店、計1134店を全国に広げており、東南アジアでの出店も強化しています。

近年はBuona Vita(ブォーナ・ビィータ)ブランド等で欧州雑貨店を運営するなど多角化に取り組んでいます。現社長の平岡史生氏の義父が同社を創業。東証一部上場企業。社員の平均年収は531万円です。

【100円ショップ「シルク」等運営】株式会社ワッツに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/1634/

株式会社ワッツは、100円ショップチェーンの「シルク」「ワッツ」「ミーツ」など1000店以上の店舗を全国に展開している。また、海外で和雑貨ショップ「KOMONOYA」の出店を行う。大阪府大阪市に本社を構える。売上ベースでは、業界では第4位だが、他の100円ショップチェーンとは差別化を図っている。

(4) 音通

レンタルCDの卸会社として1981年創業。2000年から百円ショップに乗り出し、「フレッツ」のブランドで拡大してきました。食品スーパーのFマートや、業務用カラオケ機器レンタル事業、「JOYFIT」や「LAVA」等のスポーツジム運営と事業は多角化しています。

店舗数は176店舗と他社と比べても多くはないものの、大阪で根を張った経営をしています。東証二部上場企業。社員の平均年収は514万円です。

株式会社音通に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/3770

就職・転職するなら「株式会社音通」。子会社6社から構成される持株会社。グループ会社は食料品・生活雑貨事業やカラオケ関係事業・スポーツクラブ事業を展開。100円ショップ「FLET'S」のフランチャイズチェーン展開を主力とし、他には無い豊富な商品アイテムを誇っている。近年では事業の拡大や成長発展を目的とした、積極的な投資やM&Aの展開に取り組んでいる。

事業の収益構造

(1) 売上規模

2014~2016年度決算の実績と、2017年度の予想値を見ていきます。2014〜2016年度の売上高の3期平均は、セリアが1315億円、キャンドゥが674億円、ワッツが460億円、音通が177億円です。

音通を除く3社は3期連続増収。中でもセリアは毎年1割成長で2017年度予想は1590億円を予想しており、4期連続増収を見込んでいます。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均では、セリアが126億円、キャンドゥが19億円、ワッツが12億円、音通が3億円と売上規模同様の順位です。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、セリアが9.6%、キャンドゥが2.8%、ワッツが2.7%、音通が1.8%でした。セリアが売上だけでなく、利益率でも他社を大きく引き離しています。

(3) セグメント別売上構成

セリア (2017年3月期)のセグメント別売上高構成比は、100円ショップ運営事業単一セグメントとなっており、国内比率が9割以上を占めます。

キャンドゥ(2017年11月期)のセグメント別売上高構成比は、日用雑貨及び加工食品の小売店舗チェーン展開を主たる目的とした単一セグメントで、国内比率が9割以上を占めます。

ワッツ(2017年8月期)のセグメント別売上高構成比は、100円ショップの運営及びその付随業務の単一セグメントのため省略されています。海外展開をしているものの、国内比率が9割以上を占めます。

音通(2017年3月期)のセグメント別売上高構成比は、100円ショップと食料品スーパーが属する「食料品・生活雑貨小売事業」が77.1%、業務用カラオケ機器のレンタルや販売を行う「カラオケ関連事業」が15.0%、24時間営業ジム「JOYFIT」やホットヨガ「LAVA」の運営を行う「スポーツ事業」が4.8%、不動産の賃貸や販売、コインパーキング運営等の「IP事業」が3.1%です。

セグメント利益は、スポーツ事業が35.9%、食料品・生活雑貨小売事業が31.6%、カラオケ関連事業が29.7%、IP事業が2.7%と百円ショップ以外での稼ぐ事業を有しています。地域別売上高は、国内比率が9割以上を占めます。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

4社とも「優良企業型(営業+/投資-/財務−)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。しかし細かく内容を見ると各社の戦略が異なりますので、以下で詳しく見て行きます。

(2) 収益性

企業が本業でキャッシュをどれくらい生み出したかを測った「営業キャッシュフロー」の2014〜2016年度までの3期平均は、セリアが111億円、音通が11億円、キャンドゥが10億円、ワッツが4億円です。

セリアは営業キャッシュフローを3期連続で伸ばしています。キャンドゥとワッツは、2014年度に仕入債務の支払いと法人税等の支払いが嵩み、営業キャッシュフローがマイナスであったことが影響しています。

営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、セリアが8.4%、音通が6.2%、キャンドゥが1.5%、ワッツが0.9%です。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、無借金経営のキャンドゥが0.0倍、セリアが0.1倍、ワッツが1.6倍、音通が4.4倍です。多角化している音通は有利子負債が比較的多くなっています。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、セリアがマイナス37億円、キャンドゥがマイナス13億円、ワッツがマイナス6億円、音通がマイナス5億円です。売上・利益でダントツのセリアが、投資でも頭ひとつ出ています。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、セリアがマイナス25億円、音通がマイナス6億円、キャンドゥはマイナス5億円、ワッツがマイナス4億円で、いずれも資金返済傾向です。ただしワッツは既存店の新ブランド転換を積極的に進めているため、2017年度はプラス転換しています。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、音通が312.7%、ワッツが175.5%、キャンドゥが77.1%、セリアが17.7%です。

音通とワッツは「身の丈以上」投資のラインである100%を超えています。店舗拡大が不可欠な業界であり、キャッシュフロー以上の投資を企業成長のためのカンフル剤にしようとしているようです。

まとめ

以上、4社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。


  • 業界トップのダイソーの売上4200億円には届きませんが、業界2位のセリアは上場4社の中でダントツの業績です。高収益と着実な投資でビジネスを今後もビジネスを拡張していくでしょう。

  • 無借金経営のキャンドゥは、安全性が非常に高いです。投資キャッシュフローもセリアに次いで多く、将来性もありそうです。百円ショップは基本的に薄利多売ではありますが、特徴を出して収益性の改善を図ることも期待したいです。

  • 直営小売店を中心に展開するワッツは、他の3社に先駆けて海外展開を行っています。既存店の新ブランド転換に費用がかかるものの、成長に期待できそうです。こちらも収益性の改善が望まれます。

  • 多角化経営の音通は、多額の投資が気になります。売上の8割近くを占める百円ショップが利益に占める割合は3割強程度。高収益の24時間ジムやホットヨガの展開が拡大すれば、経営は大きく改善されます。

なお、最大手の大創産業は、2018年3月に矢野社長が息子の靖二氏に社長の座を譲り、株式上場を模索しているという話もあります。長く続いた日本のデフレ時代を支えた百円ショップ業界は、価格以上に質が求められるようになっており、各社ともに事業転換が求められています。変革にチャレンジしたい方には楽しみな業界です。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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