【新興旅行サイト研究】アドベンチャー・エボラブルアジア・オープンドア比較――就職・転職するならどの会社?

【新興旅行サイト研究】アドベンチャー・エボラブルアジア・オープンドア比較――就職・転職するならどの会社?

今回は人気旅行予約サイトのうち、上場しているアドベンチャー、エボラブルアジア、オープンドアについて見ていきます。成長中の3社を財務面から分析し、特徴を洗い出します。就職・転職活動の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

この業界は世界的にみると、エクスペディアやブッキングドットコム、トリバゴといった企業が世界シェアを獲得しています。日本では、大手旅行代理店のJTBやH.I.S.のほか、リクルートが運営する「じゃらん」や、ヤフーが運営する「一休」、楽天が運営する「楽天トラベル」といったネットメディア系の強力ライバルが存在する中で、今回紹介する新興3社がオンライン国内航空券販売(OTA)に参入しています。

(1) アドベンチャー

現社長の中村俊一氏が2006年、当時海外で伸びていた「ネット上のみで取引を行う旅行会社」であるOTAに目を付け設立。2008年にLCC等の格安航空券予約サイトの「Skyticket」(スカイチケット)の運用を開始しました。

2010年に同業のビッグハートトラベルエージェンシーを買収。2014年12月に東証マザーズに上場しました。2015年には多言語オプショナルツアーサイト「WannaTrip」(ワナトリップ)を運用開始。その後もさまざまな会社を買収して多角化を図っており、大幅増収が予想されます。社員の平均年収は411万円です。

(2) エボラブルアジア

2007年に、現社長の吉村英毅氏と現会長の大石崇德氏が共同で設立したオンライン旅行会社が源流。オンライン国内航空券販売で首位。国内航空全14キャリアの航空券を予約・購入できる比較検索サイト「エアトリ」(AirTrip)を中心に運営しています。

その他にも、インバウンド向けの事業や、BPOソリューションを提供するラボ型ITオフショア開発事業などを有し、2017年9月には国内最大のメールマガジン運営会社まぐまぐを買収しました。社員の平均年収は464万円です。

(3) オープンドア

1997年に現社長の関根大介氏が設立した会社で、旅行比較サイト「トラベルコ」を運営しています。2015年に上場。国内大手旅行会社、国内外のOTA、国内外ホテルおよび国内外航空会社を含む約350以上の予約サイトを一括比較検索ができるところが強みです。

旅行専業で、旅行会社から掲載の手数料をもらう仲介ビジネスと、子会社で実際に販売するビジネスの両輪で経営。海外ホテル予約サイト「ホテルスキップ」「ホテリアドットコム」も運営しています。社員の平均年収は520万円です。

事業の収益構造

(1) 売上規模

2014年度から2016年度までの実績と、2017年度の予想値で各社の業績を見ていきます。売上高の3期平均は、エボラブルアジア が41億円、アドベンチャー が32億円、オープンドアが25億円。3社とも3期連続で増収です。

ただし、アドベンチャーの2017年度(2018年1月期)(予想)は前期比237%の増収が見込まれています。要因は、ディスカウントチケット店舗販売等のコスミック流通産業と、スポーツウエア製造のwundou (ウンドウ)を買収したことによるものです。

(2) 営業利益と利益率

2014年〜2016年度の営業利益の3期平均では、オープンドアが7.3億円、エボラブルアジアが5.5億円、アドベンチャーが2.9億円でした。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、オープンドアが29.3%、エボラブルアジアが13.5%、アドベンチャーが9.1%でした。3期連続で増益の3社ですが、旅行専業のオープンドアの収益性の高さが目立ちます。

2017年度予想では、各社とも前年を上回る最高益を予想していますが、特にエボラブルアジア(2018年9月期)は15億円、利益率21.3%という高い数字を予想しています。

(3) セグメント別売上構成

アドベンチャー (2017年6月期)のセグメント別売上高構成比は、メインのオンライン事業が98.1%、投資事業が1.9%です。セグメント利益はオンライン事業が87.2%、投資事業が12.8%でした。投資事業の収益割合が高くなっています。

エボラブルアジア (2017年9月期)のセグメント別売上高構成比は、オンライン旅行事業が68.8%。BPO等をベトナムで行なっているITオフショア開発事業で29.3%、投資事業が1.8%。

セグメント利益は、オンライン旅行事業が80.6%。ITオフショア開発事業で13.7%、投資事業が5.7%でした。本業のOTAの利益が大きいです。地域別では日本が73.5%、アジアが26.5%でした。

オープンドア(2017年3月期)のセグメントは、オンライン事業の単一セグメントのため情報はありません。売上高利益率の高い同社ですが、他社のように多角化せず、いまのところオンライン旅行事業専業でやっています。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

アドベンチャー とエボラブルアジアの2社とも「成長企業型(営業+/投資-/財務+)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

一方でオープンドアは「事業転換型(営業+/投資+/財務+)」となっており、本業は好調であるが、事業の転換を図るため借入金を積極的に取り入れ、保有資産を売却しているタイプです。

(2) 収益性

まず収益性を見てみます。営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、オープンドアが17.2%、エボラブルアジアが7.9%、アドベンチャーが4.4%でした。

3期連続で営業キャッシュフローが増加しているオープンドアが、3社中トップの収益性です。積極投資を行なっているアドベンチャーは、売上債権の増加が影響しています。

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、オープンドアが無借金のため0.0倍、アドベンチャーが0.5倍、エボラブルアジアが1.7倍でした。3社ともほぼ無借金経営で、安全性は高いです。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、エボラブルアジアがマイナス6.5億円、アドベンチャーがマイナス3.3億円に対し、オープンドアがプラス1.2億円です。

エボラブルアジアは3期連続で投資キャッシュフローのマイナス額を増やしており、アドベンチャーも2017年度には大型のM&Aを決めています。オープンドアは、2016年度はマイナスに転じており、堅実な投資は怠っていません。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、エボラブルアジアがプラス8.8億円、アドベンチャーがプラス2.9億円、オープンドアがプラス1.3億円と、3社とも資金調達等の資金流入が多くなっています。

アドベンチャーは2014年にプラス13億円とした後はマイナスに転じております。配当の開始が要因と考えられます。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、エボラブルアジアが145.0%、アドベンチャーが90.5%、オープンドアが0.0%でした。

100%を超えると「身の丈以上」投資を言われますが、積極的な事業拡大を行っているエボラブルアジアとアドベンチャーは、これに近い数字を出しています。一方、オープンドアは特段の設備投資を行っておらず、手元キャッシュフローを着実に増やしています。

まとめ

以上、3社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。

  • 国内OTA会社の先駆けとなったアドベンチャーですが、異業種のM&Aへ積極的であり、高い安全性を確保しながら先行投資を行っています。ただし3社中一番収益性が低いため、格安航空券販売という薄利ビジネスと更に別の高収益ビジネスを作り出せるかが成長の鍵です。

  • 国内トップのOTA企業であるエボラブルアジアはCM等での露出を増やし知名度拡大に努めています。3社の中でもBPOビジネスを海外拠点で行うなど海外事業を有している点から、事業拡大への道筋が見えやすいと言えます。ただし3社の中では過剰投資な傾向が見られる点は要注目です。

  • 旅行比較サイトの運営で広告収入といった安定収入を獲得しているオープンドアは、3社の中でも高収益であり、安全性が非常に高いビジネスを行っています。成長性は感じられるものの慎重な投資スタイルであるため、もう一本の収益の柱が欲しいものです。

新しいビジネスモデルであるOTAビジネスは世界的に拡大しています。3社は世界企業と渡り合うために日々試行錯誤をしながら運営を行っています。

3社の今後を占うためには現状のシェア確保と獲得したキャッシュで次の投資ができるかが重要となってきますので、ダイナミックなビジネスを行いたいというハングリー精神を持ったベンチャー志向の方にはぴったりな業界です。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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