働かないおじさんは「己の才能に失礼な生き方」をしていないか ミドル世代専門転職コンサルタントがハッパかける

働かないおじさんは「己の才能に失礼な生き方」をしていないか ミドル世代専門転職コンサルタントがハッパかける

リクルートキャリアの調査によると、今年3月の転職求人倍率は2か月連続で前年同月を下回ったという。原因は、転職市場の活性化を受けて転職希望の登録者数が増加したため。空前の売り手市場は、ミドルの転職にも恩恵をもたらすのか。


名のある企業に勤めているけれど、仕事がない、部下がいない、目指すポストもない――。そんなサラリーマンが少なからずいるようだ。特にバブル期(1988~1992年)入社組のダブつきが大きく、その世代を狙い撃ちした希望退職の募集も行われている。

個人レベルでは、いちど雇用された限りはできるだけ会社にしがみついていた方がよい、という考え方もありうる。しかし日本経済全体を見たときにはどうなのか。定年まで勤め上げたいと考えていても、会社から強引に突き放されてしまう可能性もある。

そういう事態に備えて、考えておくべきは「転職」というオプションだが、果たしてどういう考えで臨めばいいのか。そんな不安を抱えるミドル世代に、転職市場の現実を正しく理解しようと呼びかけるのが『40歳からの「転職格差」』(PHPビジネス新書)だ。

「人余り」と「人材不足」が日本の将来を揺るがす

筆者は、大手転職サイト「リクナビNEXT」で編集長を務めた黒田真行氏。現在はルーセントドアーズ代表として、ミドル世代専門の転職コンサルタントとして活動している。

なぜミドル世代を対象とした会社を始めたのか。それは本書に掲載されている図に集約されている。黒田氏は、大都市圏・大手企業を中心に「即戦力のミドル世代が余り過ぎ」であり、実力のある即戦力世代が「働かないおじさん」としてリストラ候補になっているという。

その一方で、地方や中堅企業を中心に「次世代リーダー不足」が起こっており、事業規模は小さいながら堅実に稼ぐ優良な中堅企業が「人材不足」で思うように成長できない事態が起こっている。

(出典)『40歳からの「転職格差」』(PHPビジネス新書)52ページ

この2つは「日本の大きな機会損失」になっており、日本の将来を揺るがしかねない。そこで黒田氏は、35歳以上に特化した「キャリアリリース40」を運営。要するに、この2つをつなぐマッチングをサポートするということだ。

そして実際に転職支援サービスを行った結果、こうした機会損失をうまく埋めるような個人と会社の関係となるような転職こそが、40代が転職で成功を収め幸せに生きるための共通点だったという。

「同業種」「同職種」のこだわりをどうズラせるか

個人の幸せが人それぞれであるように、転職の成功事例はケース・バイ・ケースであり、ひとつの型に押し込めることはできない。その中で、黒田氏が上記のようなパターンを強調するのはなぜか。

本書にはミドル世代の転職の成功・失敗事例が15個紹介されているが、そこに見られるのは、転職市場の現実を踏まえていなかったために、不採用通知を連続して受けたり、入社後にメンタルを病んでしまったり、ジョブホッパーになっているような人たちだ。

彼らは何が誤っていたのか。それは彼らが「これまでと同じ業種」の「同じ職種」で「同じくらいの年収」に固執しすぎたからといえるだろう。特に大企業から中堅・中小企業に転ずるとなれば、まったく同じというわけにはいかない。

もちろん過去の経験を踏まえれば、この3つの要素にこだわるのは当たり前ではある。しかし、同じようなポジションに人が溢れているから、自分はリストラ候補になっているわけであって、それが実現できることはかなり稀と最初から考えた方がよいのではないか。

本書を読むと、ミドルの転職にはこの3つをどれだけうまくズラせるか、という見極めが大事という印象を持った。異業種の同職種ではどうか、職種の呼び名は違うけれども応用できる強みやポータブルスキルはないか。そういう要素を自分で見出すための柔軟性が、成功する転職には欠かせない。

本書には「ITノウハウの業界格差」を利用して、アパレルECサイトの商品企画から学校法人の経営企画へ転職したり、ネット広告代理店の営業から農業ベンチャーのIT担当に転職したりといった「タイムマシン転職」に成功した例が載っていた。

年収アップは「時間を味方につける」

難しいのは「年収」の問題だ。いちど高給をもらってしまうと、そこから下げたくないと考えるのが人情だ。自分のプライドやアイデンティティと、カネを直結させている人もいるだろう。

しかし本書の成功事例には、現場の第一線で活躍することを優先し、生活の必要最低金額を見直して最低年収を引き下げた人もいた。黒田氏も「時間を味方につける」という表現で、長く働き続けるうちに昇給する機会もあると指摘する。

また黒田氏は、ミドル世代が転職前に確認することとして「環境」「ミッションと権限」「達成基準と評価基準」の3つを挙げる。これを明確にしていないと、入社してからこんなはずではなかったという話になりやすいし、うまく使えば成果とともに裁量や年収を上げていくこともできる。

ここまで見ても、「年収を下げてまで自分から辞める必要はない」「仕事がなくても会社から追い出されるまで動くつもりはない」と考えを変えたがらない人もいるだろう。このようなスタンスに対し、黒田氏は最終章でこうハッパをかけている。

「潜在的な能力を眠らせたままの人が多すぎる。私はそう思っています。(略)自分のもっているポテンシャルを引き出し、その能力をフルに発揮するのは、一人ひとりの責任です。その責任を果たさないのは、自分がもっている能力を発揮しないのは、自分の才能に対して失礼なことであり、あなたがあなたに失礼なことをしているのだということをもっと自覚すべきでしょう」

人生100年時代が来るといわれ、年金支給開始年齢も70歳以上に引き上げられるかもしれない。22歳から70歳まで稼ぐことを考えると、折返し地点は48歳だ。残りの人生の中で一番若いのは今だと考えれば、今からでも遅すぎるということはない。

40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 (PHPビジネス新書)

¥ 940

深刻な人手不足が叫ばれる昨今、40~50歳の「ミドル転職者」の数が増えている。しかし、その内実は悲喜こもごも。楽観的過ぎる転職の末に不本意な結果に陥る人もいれば、「異業界」「異職種」への転職でキャリアアップする人もいる。そこで本書では、ミドル専門の転職コンサルタントとして活躍する著者が、ミドル転職の成功例&失敗例と知っておくべきノウハウを徹底紹介&解説。ミドルはもちろん、将来に悩む若手・中堅社員も必読の1冊。

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