JA(農協)職員が「自爆営業」のせいで借金生活? 賞与のほとんどは消え「消費者金融から借り入れする人も」

JA(農協)職員が「自爆営業」のせいで借金生活? 賞与のほとんどは消え「消費者金融から借り入れする人も」

JA(農協)が提供するのは、農業支援に直接関係するものだけではない。お米・野菜・加工品といった食品のほか、ジュースなどの飲料、貯金やローン、共済保険、広報出版物などの販売もある。そんな幅広い商品・サービスの販売が職員のノルマになったとしたら……。


JA(農協)職員が過重なノルマに苦しむ声が、口コミサイトの「キャリコネ」に相次いでいる件について、今年に入って2本の記事を配信した。

これを受けて、さっそく1月8日に、茨城県のあるJAに勤める30代の男性職員から新たな書き込みが寄せられている。このJAでは、生活を困難にするほどノルマが重くなっているという。

「着服」「横領」は報じられただけでも年20件

過重なノルマが消化できず、自腹を切って達成(=自爆)している人が全国のJAにいることは、すでに記事にまとめた通りだ。しかし、給与やボーナスの多くをノルマ消化に回した結果、生活できなくなって借金をせざるをえない職員がいるという異常な事態は、新しい情報である。

このカードローンがJAバンクの商品だとすれば、その借金自体がノルマ達成の一部になっているといえるのかもしれない。生活全体がJA関連商品・サービスのノルマに絡め取られている形になるが、他に仕事のない地方では仕方のないことなのだろうか。

気になるのは、よく聞かれる「JA職員による不祥事」と、この過重なノルマとの間には、何の関係もないのかということだ。ネットを検索すると、昨年報じられたJA職員の着服・横領のニュースは、主なものだけでも20件はヒットする。

【この1年間に報じられた主なJA職員の着服・横領】

・JA芸南(広島県)で30代男性職員が約320万円着服で懲戒解雇(2017年2月)
・JA佐久浅間(長野県)で着服続き、県が業務改善命令(2017年2月)
・JA長生(千葉県)の40代臨時職員が計約945万円着服(2017年3月)
・JAグリーン近江(滋賀県)の40代男性職員が約284万円横領(2017年4月)
・JA北さつま(鹿児島県)の伊佐営農センターの元センター長の約3700万円の着服が発覚し、さかのぼって懲戒解雇(2017年5月)
・JA北びわこ(滋賀県)の40代男性職員が計約4470万円横領(2017年6月)
・JAさがの30代男性職員が少なくとも1億3000万円の横領で懲戒解雇。別の20代職員、50代職員の件も発覚(2017年7月)
・愛知県内のJA、横領など5年間で4億円 県への情報公開請求で発覚(2017年7月)
・JAうつのみや南部営農経済センターの20代男性職員が約47万円着服(2017年7月)
・JA福井市の40代男性職員が15年間にわたり計約1億6000万円横領(2017年8月発表)
・JAちばみどりの50代男性職員が計約5120万円横領(2017年9月)
・JA長崎せいひの40代男性職員が計約620万円着服で懲戒解雇(2017年9月)
・JA岡山の40代男性職員が85万円横領(2017年9月)
・JA秋田ふるさとの50代常勤監事が14年間にわたり計約9400万円横領(2017年9月)
・JAふくしま未来の20代男性職員が約1000万円着服で懲戒解雇(2017年10月)
・JA鳥取中央の50代男性職員が2780万円横領で懲戒解雇(2017年10月)
・JA邑楽館林(群馬県)の50代男性職員が125万円着服で懲戒解雇(2017年11月)
・JAアルプス(富山県)の20代男性職員が1015万円着服で懲戒解雇(2017年12月)
・JAさがで50代男性職員による約3700万円着服が新たに発覚(2017年12月)
・JAおおいたの20代男性職員が約700万円横領の疑い(2018年1月)

全国のJA組織に「共通する何か」とは

この中で最も大きな話題となったのは、JA福井市の事件だ。1億6000万円という額の大きさもさることながら、15年間にわたって不正が発覚しなかったことに対し、「誰もチェックしていなかったのか?」と批判が殺到した。

さらにその後、JA秋田ふるさとで14年間にわたり横領が行われていたケースでは、この職員が「常勤監事」(企業でいう監査役)であったことから、「組織の健全性を監査する監事自らが不正に手を染めるというのもなかなかお目にかかれない」と呆れる人も現れた。

これだけ不正が頻発するということは、全国のJA組織に共通する何かがあるとしか思えない。不正が行われやすい環境について、公認不正検査士協会は「不正のトライアングル」が揃う場合と指摘している。その3要素とは「機会」「動機・プレッシャー」と「正当化」である。

1つめの「機会」とは、不正を遂行できるチャンスが存在するという意味だ。JAでは職員が農家などを回って現金や通帳、証書などを預かることがあるというが、その気があれば容易に着服ができてしまう。十分なチェックを行っているのだろうか? また、「不正をしてはいけない」という当たり前の組織風土は醸成されているのだろうか?

2つめの「動機・プレッシャー」は、言うまでもなく重いノルマと達成を求める強いプレッシャーが存在するという意味だ。営業を担当する職員が、一定のノルマ達成を目指して活動することは不思議ではない。しかし、商品知識や営業ノウハウもない他の業務担当者にまで一律でノルマを課するのは、不当な強要とさえいえるだろう。

以下は、キャリコネに寄せられたJA職員の声である。なお、非営利組織という建前があるJAでは、商品の営業・販売活動を「普及推進」(あるいは単に「推進」)と呼ぶようだ。

【過重ノルマに苦しむJA職員の声(一部)】

・生活もままならない

・身内でまかなうノルマ

・スーパーで買った方が安いのに

・月刊誌・新聞2紙の強制購読

・達成困難と分かっているでしょ

・賞与がなくなるほど自爆した

「着服や横領でノルマに充当」はありえないのか

「不正のトライアングル」の3つめは、「正当化」という要素だ。自分が不正をすることに正当な理由がある、と自分を納得させる論理のことである。

上記であげた不正をした数多くのJA職員の中には、20代や30代の若手もいる。ここからは推測だが、その中には過重ノルマに苦しみ、生活もままならないほど追い込まれていた人もいるのではないか。そんな中で、目の前に着服や横領が容易にできるチャンスがあったため、つい手を出してしまった人もいるのではないか。

そしてその行為は、単に個人的なものだけでなく「これをしなければ家族が生活できないのだから仕方がない」「組合や上司が無茶なノルマを課するのがいけないのだ」「これだけ自爆しているんだから、ちょっとくらいごまかしたって許されるはずだ」といった、ある意味では気の毒な論理で、正当化されがちだったのではないだろうか。

JA福井市で横領を行った職員は、その使途について「住宅ローンの支払いや遊興費、自分の自動車を購入する資金などに使った」と答えている。遊興費に目を奪われがちだが、残る「住宅ローン」「マイカーローン」はJAバンクにも商品がある。

これも推測だが、これだけ多くの職員からJA関連商品の過重ノルマに対する告発があがっているのだから、この職員が住宅ローンやマイカーローンを、JA以外で支払っていたと考える方が不自然ではないか。もしも着服・横領した金銭が、自爆ノルマ達成に流れていたのだとすれば、これほど本末転倒なことはないのだが……。

この企業情報の記事作成

関連するキーワード


お悩み相談

関連する投稿


不正行為を断り退職に追い込まれた40代男性 転職活動1年で「年収300万円ダウン提示」に悩む

不正行為を断り退職に追い込まれた40代男性 転職活動1年で「年収300万円ダウン提示」に悩む

「年上には物を言いにくい」という理由で、難易度が高くなる中高年の転職。年齢を盾に威張りくさる人が多いから、逆に年齢で差別されてしまうのでしょう。「年功序列」は、人口減の時代に撤廃したい日本の風習です。

お悩み相談 転職


未経験の部署で初めて管理職に就任 部下から「これ分からないですか?」と笑われ悲しい

未経験の部署で初めて管理職に就任 部下から「これ分からないですか?」と笑われ悲しい

「うちの上司は手を動かさない」なんてグチが聞かれますが、管理職とは本来現場のリーダーとは異なり、自ら手を動かす仕事ではありません。部下がマネジメントを理解してくれない職場では、管理職はやりにくいでしょうね。

お悩み相談


転職したいけど「自分がやりたい仕事」が分からない! みんなどうやって見つけたの?

転職したいけど「自分がやりたい仕事」が分からない! みんなどうやって見つけたの?

今の仕事は、やりたいことではないし、好きでもない。そのような状態で転職をするとしたら、どうやって「やりたい仕事」に就けるのでしょうか。

お悩み相談 転職


「人間関係に疲れて」と転職面接で正直に言っていいのか それとも隠し通すべき?

「人間関係に疲れて」と転職面接で正直に言っていいのか それとも隠し通すべき?

職場は仕事をする場所。でも人間関係が悪くなると、とたんにストレスが高まって、仕事に集中できなくなります。居心地が悪くなって、辞めたくなっても仕方ないでしょう。

お悩み相談 転職


資格を取って「新しい仕事」がしたい! 勉強と転職活動は同時進行できるのか?

資格を取って「新しい仕事」がしたい! 勉強と転職活動は同時進行できるのか?

「このままここで働いていても仕方ないな」と気付いたら、みなさんはどうしていますか? 資格を取れば必ず転職できるわけではないけれど、何らかの専門性を高めて高給を得たいと考える人は少なくないでしょう。

お悩み相談 転職


最新の投稿


三井物産フォーサイト株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

三井物産フォーサイト株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

三井物産100%出資のグループ会社で、オフィスビル、マンション、商業複合施設や病院や工場などの運営管理を行う総合施設管理会社。2015年に同じグループ会社である物産プロパティマネジメントと合併し、現社名に改称。多岐に渡る建物のファシリティマネジメントが主な事業になるが、他にも大規模太陽光発電所の運転保守事業なども行う。

東京都品川区 不動産 非上場 三井物産グループ



豊通保険パートナーズ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

豊通保険パートナーズ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

損害保険・生命保険を軸に、トヨタグループの企業及び個人向けに損害保険代理業を営む会社。従業員福利厚生プログラムの設計・運営や、リスクマネジメントプログラムの提供などを行っている。2018年には来店型保険ショップ「ほけん相談ステーション」を愛知県内で2拠点で運営を開始している。

愛知県 保険 非上場 豊田通商グループ


豊通ケミプラス株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

豊通ケミプラス株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

ケミカル、プラスチックを中心に化学品分野の製品を取り扱う専門商社である。取扱い商品数は約5万点にのぼり、自動車資材や先端材料、食品包材、家電、パーソナル&ヘルスケアなど幅広いフィールドで研究開発から調達、生産・加工、流通、販売を行っている。豊田通商グループの企業で、総合力を発揮したソリューション提案を強みとしている。

東京都港区 商社 非上場 豊田通商グループ


トヨタ車体株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

トヨタ車体株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

トヨタ車の企画開発、および生産を行う会社。主にアルファード・ヴェルファイア等のミニバンをはじめ、商用車やSUVの製造を手がけている。他にも高齢者や身体が不自由な人向け用の福祉車両、冷凍・保冷車等の特装車なども手掛けている。海外では、アジアや北米にプレス・板金・樹脂部品の事業を展開するなど海外事業の拡大に取り組んでいる。

愛知県 非上場 自動車関連 トヨタグループ


wiget_w640
wiget_w300 wiget_w300
wiget_w300