【ITベンダー業界研究】富士通 vs NEC 比較――就職・転職するならどの会社?

【ITベンダー業界研究】富士通 vs NEC 比較――就職・転職するならどの会社?

今回は日本の「電機大手」8社の一角を占める、富士通とNEC(日本電気)を取り上げます。ともに「旧電電ファミリー」の「ITゼネコン」として公共分野に強いという共通点があります。また、ハードメーカーからの脱却を図り、近年はグループ企業を再編してITサービスにシフトし、収益改善を図っている点も似ています。


会社の成り立ち

(1) 富士通

連結の総売上高では日立製作所やソニー、パナソニックの後塵を拝すものの、売上構成比の過半数をITサービスが占めており、国内1位の規模を誇る会社です。海外100か国以上のクライアントを有していますが、国内事業が売上の6割超を占めています。

1935年に富士電機の電話業務から独立した経緯から、旧電電公社との独占的な関係を有し、日本政府や地方自治体、大手企業との取引割合が高いのが特徴。官公需を寡占する「ITゼネコン」のひとつとも呼ばれ、官公庁や大手金融機関向けの情報システムの構築・管理を請け負っています。

【ITサービス国内1位】富士通(株)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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就職・転職するなら「富士通株式会社」。ITサービス国内首位の総合ITベンダー。通信システム、情報処理システムおよび電子デバイスの製造・販売ならびにそれらに関するサービスの提供を行う。理化学研究所などと共同研究したスーパーコンピュータ「京」は、大規模グラフ解析の性能を競うGraph500で世界第1位。

(2) NEC

正式名称は日本電気株式会社。1899年に米ウエスタン・エレクトリック社が出資した外資合弁会社として誕生しました。戦前から電話交換機などの通信機器の製造を主な事業としていた「旧電電ファミリー」で、現在はサーバ分野では富士通とトップシェア争いをしています。

ITサービスへのシフトにより、この分野で日立製作所を上回る国内2位の位置につけています。国内事業の売上高構成比が8割弱にのぼっており、富士通とともに「ITゼネコン」といわれていますが、近年は独禁法違反(談合)による課徴金の支払いや指名停止などの処分が相次いでいます。

【キャリア採用あり】日本電気株式会社(NEC)に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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1899年設立。官公庁向け「パブリック事業」(27.6%)と民間ビジネス向け「システムプラットフォーム事業」(27.0%)、通信事業者向け「テレコムキャリア事業」(22.9%)で売上高の8割を占める。中途採用は事業開発系、コンサルティング系、営業系、システム系、開発系、研究系でポジションエントリー採用を行っている。

事業の収益構造

(1) 売上規模

2014年度から2016年度までの売上高の3期平均を比較すると、NECの2兆8072億円に対し、富士通が4兆6673億円と大きく上回る結果となりました。ただし両社とも、直近では3期連続でやや減収となっています。

パソコンや携帯電話の分野で高いシェアを誇っていた両社ですが、海外メーカーの参入で事業の撤退や売却などを強いられ、子会社の売却等で事業の再構築を行っています。なお2017年度は、富士通は引き続き減収を予想。NECは海外向け通信インフラや宇宙事業の成長で増収を見込んでいます。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は富士通が1427億円で、NECの924億円を上回っています。一方で、本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、NECの3.3%が、富士通の3.1%をわずかですが上回っています。

とはいえ、同期間の利益率を他のメーカーと比べると、トヨタ自動車の9.1%、野村総研の13.4%、村田製作所の20.4%などを大きく下回っており、利益率の改善が両社の課題です。

富士通は2015年に、グローバルビジネスを担当していた田中達也氏が社長就任。個人向け事業の分社化等の整理を進めており、その過程で利益が減少しています。NECも事業再編を進めており、法人ビジネスに事業集約を図っています。

なお、日本の「ITゼネコン」の利益率が低い理由については、片山良平氏が2014年6月23日付け日経ビジネスオンラインで、次のように指摘しています。

日本のSIerの収益性の低さは、日本は雇用構造に起因する部分が大きい。日本は雇用流動性が低く、おいそれと人を解雇できないため、SIerはプロジェクトごとにシステム開発に必要なエンジニアを貸し出す「人材サービス」としての機能を求められ、成長してきた歴史がある

(3) セグメント別売上構成比

富士通(2017年3月期)の報告セグメント別売上高構成比では、官公庁や法人向けの通信システム構築・管理等を行う「テクノロジーソリューション事業」が68.0%を占めています。

次いで、子会社化されたパソコンや携帯、カーナビ等の「ユビキタスソリューション事業」が20.1%、LSI等の半導体や電子部品を製造している「デバイスソリューション事業」が11.0%、「その他事業」が0.9%となっています。

地域別売上高は日本が63.5%、欧州やインド等のEMEIA(Europe, the Middle East and Africa)が17.3%、米国が8.6%、アジアが8.5%、オセアニアが2.1%となっており、国内での売上が6割を超えています。

NEC(2017年3月期)の報告セグメントは、官公庁や医療・金融向けのSI事業であるパブリック事業が27.6%、企業向けハードウェアやソフトウェアを提供するシステムプラットフォーム事業が27.0%、通信事業者向けのネットワークインフラを提供するテレコムキャリア事業が23.0%、製造業向けSI事業のエンタープライズ事業が11.5%、その他が10.9%となっています。

地域別では、日本が78.6%、中華圏・APAC(アジア・太平洋)地域が10.3%、米州が6.5%、欧州や中東およびアフリカが4.6%となっており、富士通にも増して国内事業の比重が高い状況です。

国内事業が売上高に占める割合を他のメーカーの同期間の実績と比較すると、京セラが42.1%、トヨタ自動車が31.9%、日本電産が23.6%、TDKが8.9%、村田製作所が7.7%となっており、両社の国内依存度の高さが際立っています。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

富士通とNECは、ともに「優良企業型(営業+/投資-/財務-)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながら、借入金の返済などができているタイプです。

ただし2016年度のNECは、投資キャッシュフローがプラスの「ダウンサイジング型」で、不採算事業を整理して事業縮小を図るタイプが現れています。また、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローは、富士通が大きく上回ります。以下でより詳しく見ていきます。

(2) 収益性分析

まず収益性を見てみます。営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、富士通が5.6%、NECが3.3%となりました。売上高営業利益率ではほぼ同レベルでしたが、キャッシュを生み出す力では富士通が優位です。

ただし、この数字は10%以上あると望ましいとされており、両社とも大幅に下回っていることには変わりがありません。ちなみに同期間でのこの数値は、トヨタ自動車が13.8%、野村総研が16.1%、村田製作所が22.3%でした。

(3) 安全性分析

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、富士通が2.0倍、NECが5.3倍。両社とも10倍(営業キャッシュフローでの返済にかかる期間が10年)を下回っているので問題ありませんが、富士通の安全性が光ります。

両社とも3期連続で有利子負債を減らしており、事業再編と同時に財務面でも集約を進めていることが見て取れます。

(3) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均は、富士通のマイナス1701億円に対し、NECがマイナス244億円と大きく下回っています。両社とも事業再編による事業部の子会社化や合弁化、M&Aによる売却等で投資を縮小しており、2016年度のNECはプラスです。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、富士通がマイナス613億円、NECがマイナス569億円で、両社とも配当の支払等や自社株買いによる株主還元を行っています。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、富士通が54.3%、NECは37.8%となっています。NECは3期連続で設備投資を減らしています。

まとめ

以上、両社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。

  • NECと同じ「旧電電ファミリー」の富士通ですが、売上高、収益性ともに大きく差をつけています。「ITゼネコン」として、官公需や大手企業をクライアントとした事業の規模を確保してはいるようです。しかし、グローバル化が進んで海外の競合企業が参入してきた際に、技術面などで対抗できるのかが注目されるところです。

  • NECは、富士通とともに事業のリストラを進め、収益性の高い事業へのシフトを進めているところです。問題はリストラを終えた後の成長を、どの分野で果たすかということになりますが、こちらも国内事業の比重が非常に高く、海外進出は今後の大きな課題となるでしょう。

最後に、学生の「就活生」と社会人の「転職志望者」での人気の違いを参考に見てみましょう。「キャリタス就活2018」の就活生総合人気ランキングでは、32位に富士通、79位にNECと両社とも上位にランクインしています。

またdodaの転職人気企業ランキング2017については、50位に富士通、86位にNECがランクインしていました。官に支えられた安定企業というイメージが強く、現時点では誰もが知る有名人気企業ですが、将来性がどの程度あるかは各自で予測した方がいいと思われます。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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