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【広告業界研究】電通 vs 博報堂DYグループ ――就職・転職するならどの会社?

【広告業界研究】電通 vs 博報堂DYグループ ――就職・転職するならどの会社?

電通と博報堂といえば、広告業界で「電博(でんぱく)」と言われる二大企業ですが、その内容をつぶさに見てみると、事業のあり方が大きく異なります。財務諸表の分析を基にそれぞれの会社のタイプを整理してみますので、就職や転職の際の参考になれば幸いです。


会社の成り立ち

(1) 電通グループ

1901年に設立された「日本広告」を前身とする、日本最大の総合広告代理店グループです。2013年に英イージス・グループを買収して、海外事業運営全般を統括する「電通イージス・ネットワーク社」を設置。世界5位の規模を誇ります。

東京・東新橋に地上48階、地下5階の自社ビルを所有。東京五輪・パラリンピックのマーケティング活動のほか、開・閉会式、聖火リレーなど運営を受託。スポーツビジネス要員の契約社員の中途採用を強化しています。社員の過労死問題を起こしたことは記憶に新しいでしょう。

(2) 博報堂DYグループ

電通に次ぐ国内2位の総合広告代理店グループです。2003年に博報堂と大広(D)、読売広告社(Y)が、持株会社である博報堂DYホールディングスの下に経営統合。博報堂DYグループとしては、グローバルで世界11位の規模になりました。

1895年に教育雑誌の広告取次店として設立。巨大な社屋を有する電通とは異なり、本社を賃貸オフィスの赤坂Bizタワーに置き、自社ビルを所有しない「無借金経営」で知られます。

事業の収益構造

(1) 売上規模

「会社四季報」(東洋経済新聞社)に掲載されている両社の売上高を、2014年度から2016年度の3期平均で比較すると、博報堂DYグループの1兆2005億円に対し、電通が7578億円と大きく下回ります。

ただしこれは、海外事業が売上高の7割近くを占める電通が2014年度から国際会計基準(IFRS)を適用しているためで、有価証券報告書には上記の額が「収益」として表示されています。博報堂DYグループと基準を揃えた有価証券報告書の「売上高」の3期平均は4兆6937億円であり、博報堂DYグループの4倍以上となります(以下同様に、この「売上高」を使用します)。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均は電通が1257億円と、博報堂DYグループの430億円の3倍超です。ただし、本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均では、博報堂DYグループの3.6%が、電通の2.7%を上回りました。両社とも全業種平均の約4%を下回るという、意外な結果が出ています。

巨額の売上高を誇る電通ですが、海外企業買収における「のれん代」や人件費等が嵩み、利益率は高くありません。博報堂DYグループの利益額も決して多くはないものの、3期連続増益となっており、利益率も連続で改善傾向にあります。

ちなみに、電通の営業利益を上記「収益」で割った数字は16.6%となります。電通の国際会計基準適用は、欧米の広告大手と業績を比較しやすくするというねらいもあるため、念のためこちらの数字を見ておいてもいいかもしれません。

(3) セグメント別売上構成比

電通(2016年12月期)の報告セグメント別売上高構成比は、海外事業が69.7%、国内事業が30.3%となっており、買収した海外事業が同社を引っ張っています。製品およびサービス区分別収益構成比は、広告業が91.6%、情報サービス業が7.9%、その他が0.5%です。

なお、電通が2017年12月に発行した「統合レポート2017」は、国内広告市場におけるシェアは25.4%。売上総利益に占めるデジタル領域の構成比は37%にのぼるとしています。

博報堂DYホールディングス(2017年3月期)の報告セグメントは広告業のみ。製品サービスごとの売上高構成比は、広告業が99.7%で、その他が0.3%です。地域別では、日本が94%で、海外が6%。電通とは異なり、日本での事業がメインとなっています。

なお、博報堂DYホールディングスの「2018年3月期上期連結決算概要」(2017年11月9日)によると、種目別売上高構成比は「4マスメディア」が依然として46.9%を占め、「インターネットメディア」は16.8%にとどまります。前年同期比では、新聞広告のマイナス11.4%に対し、インターネットメディアがプラス17.8%と伸びている点が目を引きます。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、両社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

電通と博報堂DYの両社ともに「優良企業型(営業+/投資-/財務-)」となっています。本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながらも、借入金の返済などができているタイプです。

キャッシュフローを見ると電通の数字の大きさが感じられますが、博報堂DYグループは有利子負債が電通に比べて格段に少ないなど異なる点が多々あります。以下でより詳しく見ていきます。

(2) 収益性分析

まず収益性を見てみます。営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、電通が2.3%、博報堂DYが2.2%で肩を並べています。この数字は10%以上あると望ましいとされていますが、両者とも大幅に下回っています。

ただしこれは、請負受注的な広告代理店事業の特性として、見かけ上の売上高が大きくなるためという側面もあり、電通の営業キャッシュフローを上記「収益」で割った数字は14.3%となります。

営業キャッシュフローは、電通は2015年度に凹んだものの、翌年は力強く回復しています。一方の博報堂DYは3期連続減少しており、キャッシュを生み出す力に不安があります。

(3) 安全性分析

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」の3期平均は、博報堂DYが0.3倍、電通が3.6倍ですので安全性に問題はありません。特に博報堂DYグループは、この規模で無借金経営を行っています。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」の3期平均では、博報堂DYグループのマイナス108億円に対し、電通のマイナス809億円と、額をかなり増やしています。

両社ともM&A等による子会社取得や有価証券取得に伴う支出が挙げられますが、電通は投資額を年々大きく増やしています。2016年度には1561億円もの投資を行っており、内外問わず積極的な拡大を図っていると見られます。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均も、博報堂DYグループのマイナス85億円に対し、電通がマイナス282億円と大きくなっています。電通は、2015年度に借入金の返済等で956億円のマイナスでしたが、2014年度と2016年度は短期・長期の借入金を受け入れてプラスになっています。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、電通が15.6%、博報堂DYが19.9%となっています。特に電通は、2016年度に222億円の設備投資を行っていますが、営業キャッシュフローの額からすれば、さほど大きいものとはいえないかもしれません。

まとめ

以上、両社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。

  • 日本国内の内需縮小を見越し、巨額の投資をしながら海外売上比率を7割近くに高める電通は、グローバル市場での競争に完全にシフトしたといっていいでしょう。事業も従来型の4マス営業から、デジタルの比重が高まりそうです。今後入社を希望する人たちは、外国語を使った海外ビジネスをすることが欠かせなくなってくるものと思われます。

  • 一方の博報堂DYグループは、国内事業が売上のほぼ全てを占めていますが、新聞広告などの落ち込みから成長性に不安な点があります。海外M&A等の投資を行っているものの、創業家の哲学でもある「無借金経営」の安全性を堅持しており、電通グループの拡大基調とは一線を画した路線にならざるをえないでしょう。

【海外事業7割】(株)電通に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/93/

就職・転職するなら「株式会社電通」。東京・汐留に本社を置く日本最大の広告会社。連結売上高は2兆円を超え、国内2位の博報堂の約2倍、3位のADKの約4倍を誇る。広告会社単体で世界最大の売上規模で、グループとしては5位。売上総利益に占める海外事業の割合は69.7%。社長の過労自殺に伴い交代した新社長は「最優先の経営課題は、労働環境の改革」と述べている。

最後に、学生の「就活生」と社会人の「転職志望者」での人気の違いを参考に見てみましょう。「キャリタス就活2018」の就活生総合人気ランキングでは、24位に博報堂DY、58位に電通と両社とも上位にランクインしています。

またDODAの転職人気企業ランキング2017では、電通が32位、博報堂DYグループの主要事業会社の博報堂が106位にランクインしています。

【粒ぞろいより粒違い】(株)博報堂に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/1396

就職・転職するなら「株式会社博報堂」。国内2位、世界11位の広告代理店。親会社は博報堂DYホールディングス。企業フィロソフィに「生活者発想」と「パートナー主義」を掲げる。4マス媒体の売上構成比は46.9%。社員の個性を重視し、「粒ぞろいより粒違い」が人材育成の方針。10年間で複数の異なる領域の業務を担当する「多段階キャリア育成制度」がある。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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