【ネトゲ業界研究】ネクソン・ガンホー・DeNA比較――就職・転職するならどの会社?

【ネトゲ業界研究】ネクソン・ガンホー・DeNA比較――就職・転職するならどの会社?

インターネット環境の変化に対応しながらユーザーを拡大してきたのが「オンライン/ネットゲーム業界」(通称:ネトゲ業界)です。今回は業界大手のネクソン、ガンホー、DeNAの財務諸表の分析を基に、会社のタイプを整理してみます。ネトゲ業界への就職・転職に役立てば幸いです。


会社の成り立ち

ネットを介し、特定あるいは不特定の相手や集団と遊ぶことができるネトゲ。ネクソンの「アラド戦記」のようにPCユーザーが多いもの、DeNAの「Mobage」のように携帯電話のSNSプラットフォームから発展したもの、ガンホーの「パズドラ」のようにSNSに依存しないスマートフォンアプリとして登場したものなど、様々な種類があります。

(1) ネクソン

1994年に韓国で創業したオンラインゲームの会社です。2005年に本格的な海外進出を目指し、本社を日本に移転。2011年には東証一部への上場を果たしました。2017年に時価総額1兆円を突破し、これはゲーム業界では任天堂に次ぐ第2位です。

世界初のグラフィックMMORPG(大規模多人数参加型ロールプレイングゲーム)や基本プレイ無料型(F2P)ゲームを提供。現在は「メイプルストーリー」「三国志曹操伝」のほか、海外でも人気の「アラド戦記」が成長しています。

(2) ガンホー

正式名称は「ガンホー・オンライン・エンターテイメント」。1998年にソフトバンクと米オンセール社による合弁会社が発端ですが、2002年から現社名に変更し、オンラインゲーム運営に事業転換を行いました。

2012年にリリースしたパズルRPGの「パズル&ドラゴンズ」は、スマホで基本無料で遊べるものの、日本のApp Storeのアプリ内課金の売り上げで2012年の年間1位を獲得しています。創業社長はソフトバンクグループ孫正義社長の実弟である孫泰蔵氏。

(3) DeNA

正式名称は「ディー・エヌ・エー」。34歳の若さでマッキンゼー日本支社のパートナーとなった南場智子氏が1999年に創業。当初はネットオークションを運営していましたが、2006年に携帯電話専用ゲームサイト「モバゲータウン」へシフトし、いわゆる「ソシャゲ業界」を牽引して急成長しました。

ゲーム専業の2社とは異なり、売上高に占めるゲーム事業の割合は7割程度。EC事業や横浜DeNAベイスターズの運営のほか、ヘルスケアや自動車の自動運転など多岐に渡る領域の新規事業を展開しています。

事業の収益構造

(1) 売上規模

2014年度から2016年度までの売上高の3期平均を比較すると、ネクソンが1821億円ともっとも高く、次いでガンホーが1466億円、DeNAが1433億円となっています。

ただし2014年度単体で見ると、ガンホーはネクソンとほぼ肩を並べていました。そのガンホーがここ3期連続で減収となる一方で、DeNAが3期連続増収でガンホーを抜きました。ネクソンは安定的な売上を確保しています。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均では、順位が入れ替わっています。トップがガンホーの709億円で、次いでネクソンの494億円、DeNAが225億円となっています。

また本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、ガンホーが48.4%、ネクソンが27.2%、DeNAが15.8%となっています。

利益率で飛び抜けるガンホーですが、パズドラの課金収入が減少し、3期連続減益となっています。DeNAは任天堂との協業コンテンツである「ファイアーエムブレム ヒーローズ」や「スーパーマリオ ラン」が収益化フェーズに入り、2016年度で増益を達成しています。

(3) セグメント別売上構成比

有価証券報告書を見ると、ネクソンの報告セグメント別売上収益構成比(2016年12月期)は子会社ごとで分けられており、「アラド戦記」を担う子会社のネオプル・インクが属する韓国事業が83.6%で筆頭を占めます。続いて本社のある日本事業が8.4%、北米事業が4.8%、中国事業が2.5%、その他が0.7%となっています。

製品別売上収益比を見ると、ゲーム課金が57.1%、ロイヤリティが39.6%、その他が3.3%。事業別売上収益比で見ると、PCオンラインが75.6%、モバイルが23.7%、その他0.7%となっており、PC向けのゲームに強みを持っています。

所在地別売上高は、韓国と中国が同率で40.5%ずつで8割を占め、両国で同社のビジネス市場となっています。続いて日本が9.2%、北米は4.4%、その他地域で5.4%となりました。

ガンホー(同)の事業セグメントは、ゲーム事業単一となっております。所在地別は日本が88.6%と大半を占めます。続いてアジアが6.4%、北米は4.4%、その他地域で0.6%となっています。現状では日本におけるゲーム事業が、同社の売上を左右しています。

DeNA(2017年3月期)の事業別売上収益比は、ゲーム事業が70.4%と筆頭で、続いてEC事業が12.8%、スポーツ事業は9.5%、新規事業・その他が7.3%となっています。所在地別では日本国内が90%以上を占めます。

ゲーム事業に特化しているネクソンとガンホーに対して、DeNAはプロ野球チームを持つなど多角化を図っています。地域別で見ると、ガンホーとDeNAは日本国内を中心としたビジネス展開を行っていますが、ネクソンは韓国・中国のアジア圏で勢力を伸ばしています。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、各社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

キャッシュフローの3期平均を見てみると、3社とも異なった企業タイプです。ネクソンは「優良企業型(営業+/投資-/財務-)」で、本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながらも、借入金の返済などができているタイプです。売上高でほぼ同水準だった3社ですが、営業キャッシュフローの規模はネクソンがダントツとなっています。

ガンホーは「ダウンサイジング型(営業+/投資+/財務-)」あるいは再構築型といわれるタイプです。利益や市場シェア、キャッシュフローの減少への対応として、資産を売却し、借入金等も返済するという経営判断を取っています。

DeNAは、資金調達をしながら積極投資を行う「成長企業型(営業+/投資-/財務+)」となっています。以下、内容を詳しく見ていきましょう。

(2) 収益性分析

まず収益性を見てみます。営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、ネクソンが35.1%、ガンホーが25.3%、DeNAが18.0%となりました。

この数字は10%以上あると望ましいとされていますが、3社とも大きく上回っています。売上高営業利益率ではガンホーがトップでしたが、この指標ではネクソンがトップとなりました。DeNAは、スポーツ事業と新規事業で赤字を計上している点が収益率に影響しています。

【オンラインゲーム大手】株式会社ネクソンに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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PC・モバイル向けの100を超えるゲームタイトルを、海外法人や提携パートナー企業を通じて190以上の国と地域に配信・運用している会社。時価総額は1兆円を超え、ゲーム業界では任天堂に次ぐ2位。世界初のグラフィックMMORPG『風の王国』や世界初の基本プレイ無料型(F2P)ゲーム『Quiz Quiz』などを擁する。

(3) 安全性分析

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」は、低ければ低いほど安全です。3期平均で見ると、ガンホーが0.04倍、DeNAが0.1倍、ネクソンの0.2倍といずれも1倍を切っています。

一般的には10倍(営業キャッシュフローでの返済にかかる期間が10年)を超えると安全性は低いと言われますが、いずれも1倍以内で、3社とも実質的に「無借金経営」を実現しているといえます。

これはゲーム開発のコストの大半を人件費が占め、製造業のように大きな設備投資が必要ないためです。3社とも人気タイトルを有しており、高い安全性を確保していますが、もっとも有利子負債の額が少ないのはガンホーです。

ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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「パズドラの会社」として有名な企業。同タイトルを国民的ゲームへとクロスメディア展開し、スマホアプリゲームから家庭用ゲームまで幅広く取り扱う。新タイトル「LET IT DIE」ではグローバル展開を前提とし、未だ立ち上がっていない家庭用オンラインF2P市場へ挑戦する等、常にアグレッシブな開発力で消費者を楽しませ続けている。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」では、3期平均でネクソンがマイナス341億円となっており、次いでDeNAがマイナス228億円となっています。一方でガンホーはプラス116億円と投資縮小を示しています。

ガンホーは2015年度に行った定期預金払戻し分461億円が3期平均に大きく影響しており、運転資金確保に動いていると見られます。ネクソンも2015年度に有価証券売却等によって564億円の投資キャッシュフロープラスでしたが、積極的なM&A等の姿勢が見られます。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、ガンホーがマイナス556億円、ネクソンがマイナス239億円と借入等の返済を進めています。一方、DeNAはプラス46億円となっており、借入等にて資金調達を行っています。

ガンホーは直近2期連続で約700億円の自己株式取得を行っており、市場から調達していた資金を戻しています。DeNAは2015年度に自己株式の処分によって、221億円の収入を得ています。新規事業に積極的なDeNAは、資金調達を伴いながら事業拡大を行っています。

【DeNA】(株)ディー・エヌ・エーに就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

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就職・転職するなら「株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)」。「株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の」の企業情報まとめ。新卒採用・中途採用を受ける前に知っておきたい採用企業の「創業者・経営者、ビジョン、事業、業績、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与(年収)、社員、人材育成・評価制度、福利厚生、OG・OG、採用・求人」情報をまとめました。就職・転職の際の企業研究に。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、ガンホーの6.2%、ネクソンの9.6%で、設備投資をあまり求めないゲーム会社の特徴が現れています。これに対してDeNAだけが56.6%と積極的な投資を行っています。

DeNAは新規事業はもちろん、傘下の横浜スタジアムについて2020年のプロ野球シーズン開幕までに85億円をかけて増築整備をする予定です。ただし投資額は営業キャッシュフロー内であり、身の丈に合ったものです。

まとめ

以上、3社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。

  • ネクソンは、成長市場である中国と韓国のアジア圏に強みがあります。人気ゲームタイトルによる安定した業績を誇り、高い収益性を有しています。
  • ガンホーは「パズドラ」後のヒット作に恵まれていない点が懸念材料です。新作開発やM&Aによる次期人気タイトルの発掘がうまくいかなければ、「パズドラ離れ」の中で業績は縮小していかざるをえません。
  • 事業の多角化を進めるDeNAは、新規事業への投資が積極的で、将来の成長が期待できます。メインのゲーム事業は、協業先の任天堂の人気タイトルをスマホゲームとしてどう世に出すかが飛躍の鍵を握るでしょう。

最後に、学生の「就活生」と社会人の「転職志望者」での人気の違いを参考に見てみましょう。「キャリタス就活2018」の就活生総合人気ランキングと、DODAの転職人気企業ランキング2017では、3社ともランク外でした。ただしDODAランキングの293位に、DeNAの子会社である横浜DeNAベイスターズがランクインされていました。

ネクソンとガンホーは、ゲーム事業経験者の高い実績があれば即戦力で登用されそうです。新規事業を軌道に乗せたいDeNAは、ゲームだけでなくビジネス一般のスキルの高さが求められるでしょう。

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アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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