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【SI業界研究】大塚商会・野村総研・伊藤忠テクノソリューションズ比較――就職・転職するならどの会社?

【SI業界研究】大塚商会・野村総研・伊藤忠テクノソリューションズ比較――就職・転職するならどの会社?

情報システムの構築から運用までをサポートするのが「システムインタグレーター」(SI、SIer)と呼ばれるIT企業です。今回は大塚商会と野村総研、伊藤忠テクノソリューションズの大手3社のタイプを整理してみます。SI業界への就職・転職に役立てば幸いです。


会社の成り立ち

(1) 大塚商会

1961年にOA機器販売会社として創業。当初は複写機やファクシミリなど事務機器の販売で知られましたが、オフィスコンピュータ(オフコン)の登場にあわせ、パソコン普及以前よりソフトウェア開発を手がけてきました。

現在は中堅中小企業を顧客基盤に、主軸のSI事業のほか、間接業務のアウトソーシングを請け負う「たよれーる」や、オフィスサプライ通販「たのめーる」などのサービス&サポート事業で収益を上げています。

(2) 野村総合研究所(野村総研)

略称「NRI」。野村證券の調査部から独立した日本初の本格的な民間シンクタンクである野村総研と、日本で初めて商用コンピュータを導入した野村コンピュータシステムが合併して、現法人が誕生しています。

なお、野村證券を中核事業会社とする野村ホールディングスとは一定の資本関係がありますが、子会社ではなく、野村グループではありません。しかし強みは、やはり「金融IT」です。

(3) 伊藤忠テクノソリューションズ

略称「CTC」。伊藤忠商事が株式の過半数を有するSIで、1972年に設立されました。2006年にCRCソリューションズ、2017年にCTCライフサイエンスを合併し、幅広いサービスを提供しています。

主に伊藤忠系へのシステム開発・運用と、通信業界のITインフラ構築に強みを有しています

事業の収益構造

(1) 売上規模

2014年度から2016年度までの売上高の3期平均を比較すると、大塚商会が6194億円ともっとも高く、次に野村総研で4173億円、続いて伊藤忠テクノソリューションズが3938億円となっています。

独立系の大塚商会が頭ひとつ抜きんでており、さらに近年は右肩上がり。ユーザー系の野村総研と伊藤忠テクノソリューションズが追いかける展開です。

(2) 営業利益と利益率

営業利益の3期平均では、順位が入れ替わっています。売上高では3社中2位だった野村総研が560億円とトップになり、大塚商会が380億円、伊藤忠テクノソリューションズが294億円となっています。

本業の儲ける力を測る売上高営業利益率の3期平均は、野村総研が13.4%、伊藤忠テクノソリューションズが7.5%。大塚商会は6.1%で3位になります。業界トップのNTTデータの6.2%と比べて大塚商会が低すぎるわけではないのですが、野村総研の儲ける力の強さが光っているといえます。

(3) セグメント別売上構成比

有価証券報告書を見ると、大塚商会の事業別売上高構成比(2016年12月期)は、システム・インテグレーション事業を占める割合は58.5%にとどまり、「たよれーる」や「たのめーる」などのサービス&サポート事業が41.4%を占めています。ホテルなどその他事業は0.1%。所在地別売上高は、日本が9割以上を占めています。

野村総研(2017年3月期)は、金融機関向けの金融ITソリューション事業が58.2%ともっとも高く、その他事業法人向けの産業ITソリューション事業が25.3%、データセンターシステム等のIT基盤サービス事業が6.9%となっています。コンサルティング事業は7.2%にとどまり、その他事業が2.5%となっています。

所在地別は国内が9割以上を占めています。大口の取引先は、野村ホールディングス向け売上高が全体の16.9%、セブン&アイ・ホールディングスが10.7%となっています。

SI専業の伊藤忠テクノソリューションズ(同)は、産業別にセグメントを分けています。情報通信事業が36.3%、流通・エンタープライズ事業が31.2%、金融・社会インフラ事業は12.4%、公共・広域事業が9.3%、ITサービス事業が2.8%で、その他事業が8%となっています。

所在地別では、国内企業向けが9割以上を占めております。大口の取引先は、NTTグループが12.3%、KDDIグループが11.6%となっており、収益性の高い通信インフラ会社との関係性が強いようです。

キャッシュフロー計算書分析

「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのキャッシュフロー計算書から、各社の企業活動の特徴を見てみましょう。

(1) 企業タイプ

3社とも「優良企業型(営業+/投資-/財務-)」となっています。いずれも本業で生み出したキャッシュを元手に投資を行いながらも、借入金の返済などができているタイプです。

ただし営業キャッシュフローと投資キャッシュフローは野村総研が最大、大塚商会が最小となるなど、企業によっては傾向が異なります。以下、内容を詳しく見ていきましょう。

(2) 収益性

まず収益性を見てみると、営業キャッシュフローを売上高で割った「営業キャッシュフローマージン」の3期平均は、野村総研が16.1%、伊藤忠テクノソリューションズが6.2%、大塚商会が4.6%です。

この数字は10%以上あれば望ましいとされており、業界最大手のNTTデータが13.5%となっています。この水準を野村総研だけが上回っており、収益性の高さが見て取れます。

【平均年収1156万円】株式会社野村総合研究所に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/777

国内シンクタンク業界で最大手。日本初の本格的な民間シンクタンクである野村総合研究所と、日本で初めて商用コンピュータを導入したシステム開発会社の野村コンピュータシステムが合併し、1988年に設立。売上の多くは情報システム事業で、企業の経営戦略立案からシステム構築まで一貫した支援を行える点が強み。[野村総研、NRI]

(3) 安全性

有利子負債を営業キャッシュフローで割った「有利子負債キャッシュフロー倍率」は、低ければ低いほど安全です。一般的には10倍(営業キャッシュフローでの返済にかかる期間が10年)を超えると、安全性は低いと言われます。

3期平均で見ると、大塚商会が0.3倍と非常に高い安全性を示しており、伊藤忠テクノソリューションズの0.6倍、野村総研の0.9倍とともに、年間の営業キャッシュフローで返済が賄えてしまう計算になります。

これは有利子負債残高が非常に低いためで、特に大塚商会は実質的に「無借金経営」を実現しているといえます。

株式会社大塚商会に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/670

1961年設立。コンピュータ・ネットワーク関連のシステムインテグレーション事業、コンピュータ機器関連のサービス&サポート事業「たよれーる」、事務機器用品などのカタログ通販サービス&サポート事業「たのめーる」の3つが中核事業。障害者雇用に積極的な企業としても知られている。

(4) 将来性

企業の将来性を測る手がかりとなる「投資キャッシュフロー」では、3期平均で野村総研がマイナス355億円と積極的に投資を行っており、次いで伊藤忠テクノソリューションズがマイナス165億円、大塚商会はマイナス61億円となっています。

野村総研は、特に2015年度に行った750億円を超える投資が平均を引き上げています。安全経営の大塚商会の投資金額が低く、事業環境の変化に備えて十分な投資ができているのか気になるところです。

借り入れや社債・新株の発行などの資金調達等を記録する「財務キャッシュフロー」の3期平均は、野村総研がマイナス118億円、伊藤忠テクノソリューションズがマイナス99億円、大塚商会がマイナス86億円と、いずれも資金の返済を進めています。

一方、NTTデータは、大規模先行投資のために資金調達を行っており、604億円のプラスとなっています。

設備投資額(セグメント内)を営業活動キャッシュフローで割った「設備投資対営業キャッシュフロー比率」の3期平均は、野村総研が58.6%、伊藤忠テクノソリューションズが40.9%、大塚商会が23.6%。いずれも身の丈100%を超える設備投資は行っていませんが、野村総研の積極性が目に付きます。NTTデータは66.1%です。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社に就職・転職するなら知っておきたい情報まとめ

https://tenshock.biz/articles/669

1972年創立。伊藤忠商事の子会社であり、コンピュータ、ネットワーク、アプリケーションによるコンサルティングからシステムの開発、運用・保守などのトータル・ソリューションの提供をおこなうシステムインテグレーター。通称CTC。同社の行動指針「Challenging Tomorrow's Changes」に由来するとされる。

まとめ

以上、3社の財務諸表を簡単に分析してみました。これがすべての切り口とはいえませんが、各社の特徴がよく現れているといえるのではないでしょうか。就職や転職を目指す方々は、このような会社の違いを踏まえて志望企業を選ぶことをオススメします。

  • 中堅中小企業を顧客基盤とする大塚商会は、売上高は高いものの、大企業を大口顧客とする他の2社よりも収益性が低いのは仕方がないでしょう。ユニークなサービスを生み出す力には定評があり、経営の安全性は申し分がありません。
  • 野村総研は、金融機関や官公庁向けシステム開発に高い信頼を獲得しており、高い収益性と設備投資に積極的な姿勢には、高い将来性が感じられます。
  • 伊藤忠テクノソリューションズは抜きん出た特徴はないものの、通信インフラ企業との強いパイプにより安定した経営をしています。今後は外資系IT企業との競争が激化することが予想されますが、伊藤忠グループのメリットが発揮されるでしょうか。

最後に、学生の「就活生」と社会人の「転職志望者」での人気の違いを参考に見てみましょう。「キャリタス就活2018」の就活生人気ランキングでは、38位の野村総研が3社の中でトップでした。大塚商会と伊藤忠テクノソリューションズはランク外でした。

DODAの転職人気企業ランキング2017では、総合ランキングで野村総研が109位とこちらでも3社中トップを獲得しています。伊藤忠テクノソリューションズで281位、大塚商会はこちらでもランク外となっていました。

大塚商会は、かつて事務機器販売の時代の激務のイメージが残っているのかもしれません。しかし現在では業態が大きく変わっており、労働環境の改善が図られているようです。無借金経営の安心感もあり、転職の選択肢になるのではないでしょうか。

この企業情報の記事作成

アナリストになる夢を持ち、証券会社で営業をしながら日々頑張ってます。

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